Dave Brubeck / Anything Goes!

特にジャズ・マニアの中には、いわゆる「ジャケ買い」に走る人が多い。当然ながら対象は女性である。このアルバムも美脚ジャケットとして、マニアの間では有名。ただし、中身の演奏もジャケットに負けないくらいの内容となっている。タイトルはAnything Goes!であるが、美脚の右にはThe Dave Brubeck Quartet plays Cole Porterと書いてあって、演奏曲目を正確に表している。そして、ジャケット裏にはコール・ポーターの写真が載せられている。

タイトルの上には、小さいフォントでタイトル曲Anything Goesの歌詞の一部が書いてある。"In olden days, a glimpse of stocking, Was looked on as something shocking, But now, Heaven knows"(かつてはストッキングが見えただけで、ショックだった。だけど今は神様だって知っている通りさ)。なので、美脚ジャケット。さらに、曲名にはないビックリマークがタイトルには付いていて、プロデューサーのテオ・マセロが「Anything Goes!(なんでもあり!)」と膝を叩いたのだろう。

1. Anything Goes
2. Love For Sale
3. Night And Day
4. What Is This Thing Called Love?
5. I Get A Kick Out Of You
6. Just One Of Those Things
7. You're The Top
8. All Through The Night

Paul Desmond - alto saxophone
Dave Brubeck - piano
Joe Morello - drums
Gene Wright - bass

Tracks 1, 3, 4 & 8
Recorded on December 8, 1965.

Track 2
Recorded on January 26, 1966.

Tracks 5, 6 & 7
Recorded on February 17, 1966.

Bob Dylan / Time Out Of Mind

アルバムUnder The Red Sky以来となる7年ぶりのオリジナル曲集アルバム。1997年9月リリース。長いトンネルをようやく抜けたディラン。菅野ヘッケル氏の解説によると、ディランはこう語っている。「わたしのアルバムを聞く人のなかには、歌詞だけを取り上げてあれこれ批評する人がかなりいるようだが、この新作は音楽を聞いてほしいと思っている。詩を分析するのではなく、演奏そのものを聞いてほしい。頭で考えるよりも、心で感じてほしい」。

この言葉は自信の表れだろう。全11曲中、9曲が5分を超えている。ラストのHighlandsは16分33秒。この時点で最長記録。そんな記録とは関係なく、1998年グラミー賞で最優秀アルバム賞を受賞。ディランは、ここに復活したのだ。しかし、ハーモニカを演奏しているは5曲目のTryin' To Get To Heavenのみで、演奏スタイルの変化を感じる。この曲では、「ドアが閉まってしまう前に天国に辿り着こう」と歌う。次のNot Dark Yetは、「まだ暗くない、だけど間もなくそうなるだろう」と歌い、タイトルTime Out Of Mindの関連性を見いだすことができる。

アルバム全体としては、固有名詞はあまり出て来ない。だが、Highlandsで一気に噴き出す。歌詞の中ではthe Highlandsと書いているので、スコットランドの高地地方を示している。そして、なんの脈略もなく「ニール・ヤングを聴いている、ボリュームを上げると、音を下げろって誰かがいつも叫ぶんだ」と出てくる。ここでも、ディランの本領発揮。ちなみに、2020年6月にリリースされたアルバムRough And Rowdy Waysの収録曲Murder Most Foulは16分54秒。23年ぶりに記録を更新したのである。

1. Love Sick
2. Dirt Road Blues
3. Standing In The Doorway
4. Million Miles
5. Tryin' To Get To Heaven
6. 'Til I Fell In Love With You
7. Not Dark Yet
8. Cold Irons Bound
9. Make You Feel My Love
10. Can't Wait
11. Highlands

Bob Dylan - guitar, harmonica, piano, vocals
Bucky Baxter - acoustic guitar, pedal steel
Brian Blade - drums
Robert Britt - Martin acoustic, Fender Stratocaster
Cindy Cashdollar - slide guitar
Jim Dickinson - keyboards, Wurlitzer electric piano, pump organ
Tony Garnier - bass guitar, upright bass
Jim Keltner - drums
David Kemper - drums
Daniel Lanois - guitar, mando-guitar, Firebird, Martin 0018, Gretsch gold top, rhythm guitar, lead guitar
Tony Mangurian - percussion
Augie Meyers - Vox organ combo, Hammond B3 organ, accordion
Duke Robillard - guitar, electric l5 Gibson
Winston Watson - drums

Recorded in 1996 - 1997 at Criteria Recording Studios, Miami, Florida.

Stan Getz / Apasionado

後藤雅洋著『一生モノのジャズ名盤500』で、次のように紹介され手に入れた。「ゲッツのスケールの大きさを実感させるアルバム。A&M移籍第1弾、ハーブ・アルパートがプロデュースと言うと、一定のポップなイメージが湧いてくると思うが、スタン・ゲッツのテナーがバリバリなので、ポップなサウンドのまんま、どジャズになっちゃってる。発売が90年だから彼としては晩年の作品だが、まったく衰えを見せていない。名盤」。

ジャケットにはゲッツのサイン入りで挨拶が記載。I would like to thank everyone who contributed to this album, with special thanks to Herb Alpert who showed me aspects of recording I'd never experienced before.(このアルバムに貢献してくれたすべての人、特に、これまで経験したことのないレコーディングの側面を見せてくれたハーブ・アルパートに感謝したい)。

アルパートはA&Mの創始者なので、社交辞令も含んでいるのだろう。ゲッツは1927年2月生まれ。本作の録音時点で62歳。まだ衰えを見せる年齢ではないが、アルコール依存症だったことは良く知られている。それでも、新たなサウンドに挑戦したことは事実。このアルバムが名盤かどうかは、好き嫌いの範疇だろう。自分としては、心揺さぶられるアルバムとは言い難い。ちなみに、Apasionadoとはスペイン語で「情熱的」。

1. Apasionado
2. Coba
3. Waltz For Stan
4. Espanola
5. Mandrugada
6. Amorous Cat
7. Midnight Ride
8. Lonely Lady

Stan Getz - tenor saxophone
Bill Green - alto saxophone
Rick Baptist, Oscar Brashear, Noland Smith Jr. - trumpet
George Bohanon, Reginald Young - trombone
Tom Johnson - tuba
Kenny Barron - piano
Mike Lang - electric piano, synthesizer
Eddie Del Barrio - synthesizer
Oscar Castro-Neves, Michael Landau - electric guitar
Jimmy Johnson - bass
Jeff Porcaro - drums
Paulinho Da Costa - percussion

Recorded on September 13, 1989 at A&M Studios, Los Angeles, CA.