Roland Kirk / The Inflated Tear

ローランド・カークの聴き方は難しい。どうしても盲目の管楽器プレイヤーとして聴いてしまう。それは防ぎようのない事実。だが、彼自身が何を頼りにしてグループのセッションをまとめ上げたのかが分からない。ジャズプレイヤーの間では、「まだまだ行こう」とか「ぼちぼちパワー全開にして終わるぞ」などと目線で合図を飛ばす。

このアルバムを注意深く聴いて、そのヒントがあった。カークのホイッスルである。目線で合図を送れないカークは、ホイッスルを武器にしたのだろう。その結果、複数の管楽器を口に加えて演奏すると言う技を磨いていった。タイトル曲は「溢れ出る涙」。そんな悲壮感は微塵もない。カークが根底に持っているブルース感覚を共感できるアルバム。ジャケットの写真を見れば分かる。楽器を吹いていること、ジャズをやっていることがオレの生き甲斐なんだという表情。

1. The Black And Crazy Blues
2. A Laugh For Rory
3. Many Blessings
4. Fingers In The Wind
5. The Inflated Tear
6. The Creole Love Call
7. A Handful Of Fives
8. Fly By Night
9. Lovellevelliloqui

Roland Kirk - tenor saxophone, manzello, stritch, clarinet, flute, whistle, coranglais, flexafone
Ron Burton - piano
Steve Novosel - bass
Jimmy Hopps - drums
Dick Griffith - trombone (track 8)

Recorded on November 27 & 30, 1967 at Webster Hall, NYC.

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