高田渡 / 高田渡トリビュート

ジャケットがイカしている。表はかつての吉祥寺の『いせや』、裏は井之頭公園。ジャケットはブックレットになっていて、参加したミュージシャンのコメントが掲載されている。最後は高田渡自身のコメント。「病気のくり返しなのに、反省していない。そんな僕に、僕が想っているだけかもしれないがとてもステキな友人がいる。そんな友人達がトリビュートをつくってくれた。本当にうれしく思っている。まだ僕は元気なのだが・・・元気でいます。死ぬまで生きます」。

このアルバムが発売されたのは2004年10月15日。翌年4月16日、渡は56歳で他界。死ぬまで生きた渡がホームグラウンドにしていた『いせや』。ウェブサイトを見に行ったら、やはりアルコールの提供は中止になっていた。天国にいる渡は、ぽつりと呟いているだろう。「コロナが逃げ出すような強い酒はないのかい?」

1. 長屋の路地に / 斉藤哲夫
2. コーヒーブルース / 村上律
3. ヘイ・ヘイ・ブルース / 大庭珍太
4. すかんぽ / なぎら健壱
5. スキンシップ・ブルース / 柄本明
6. 系図 / 中川五郎
7. ブラブラ節 / シバ
8. 私は私よ / アーリータイムスストリングスバンド
9. ボロ・ボロ / 中川イサト
10. 酒が飲みたい夜は / 佐久間順平
11. 風 / いとうたかお
12. ブラザー軒 / 佐藤GWAN博
13. 祭(フィエスタ) / 山崎ハコ
14. 夕暮れ / 大塚まさじ
15. 調査節 / 高田渡

発売 2004年10月15日

高田渡 / 27/03/03

このアルバムは次のように紹介されている。『2003年3月27日に、NHK-FMの人気音楽番組「LIVE BEAT」用に公開録音された音源をほぼノーカットで収録した本作は、高田親子2人だけによるライブを記録した貴重な作品』。高田渡が亡くなったのは2005年4月16日(享年56)。この音源がアルバム化されたのが2006年4月12日。

収録時間は66分となっているが、高田渡の語りが半分近くを占めているだろう。つまり、このアルバムで渡の人柄を知ることができる。9曲目が終わったとき、息子の漣が渡に「いつもより調子いいね、今日は」と話すと、渡は「早く帰りたい」とつぶやくのだ。

1. 仕事さがし
2. 69
3. 魚つりブルース
4. アイスクリーム
5. コーヒーブルース
6. 流行ものには目がないわ
7. 値上げ
8. ごあいさつ
9. 鎮静剤
10. マリア・エレナ ~ ワイルドウッド・フラワー
11. 銭がなけりゃ
12. モアナ・チャイムズ
13. トンネルの唄
14. ブラザー軒
15. 生活の柄
16. 夕暮れ

高田渡 / 高田漣

公開録音 2003年3月27日 / NHK-FM 音楽番組『ライブビート』

高田渡 / 渡

前作『ねこのねごと』から10年を経て発売されたアルバム。ここに、高田渡というミュージシャンの生き方が見えてくる。アルバムによるマーケットでの評価には一切関心がなく、旅回りをして歌い続けた。2005年4月3日、北海道白糠町でのライブ終了後に倒れ、釧路市内の病院に入院。同月16日、病院で心不全により死去。享年56だった。

渡は、必ずしも自身の作品にこだわっていない。歌いたくなる詩に出会えれば、それに曲を付ける。もしくは、トラディショナル曲のメロディーを組み合わせる。渡の代表曲である「生活の柄」も、山之内貘の詩に渡が曲を付けた。そして、「イキテル・ソング ~ 野生の花」はアメリカ民謡、「風」はイギリス民謡からメロディーを拝借している。このアルバムでの渡自身だけによる作品は「仕事さがし」と「酒心」。「酒心」は次のように歌い始める。詩というより、つぶやき。なので、この曲だけはバック・ミュージシャンはいなくて、ギターの弾き語り。

雨が降るといっては呑み
晴れれば 晴れたで呑む
雪で 一杯
紅葉 で一杯
夏の夕立後は さわやかに一杯

1. 仕事さがし
2. スキンシップ・ブルース
3. 病い
4. 相子
5. イキテル・ソング ~ 野生の花
6. ホントはみんな
7. こいつは墓場にならなくちゃ
8. 夕暮れ
9. 酒心
10. 生活の柄
11. さびしいといま
12. 風

発売 1993年5月25日