高田渡 / バーボン・ストリート・ブルース

2008年4月1日発行 ちくま文庫 720円。単行本720円ならば買いとAmazonで購入。しかし、送られてきた箱は軽かった。開けてみると文庫本だった。正直、失敗したと思った。ネットで詳しく調べると、この自伝は2001年8月に山と渓谷社から単行本で発刊されたが、今は古本市場にほとんど出回っていないらしい。だが、読み進むと面白くて仕方がない。ページが進んで終わりに近づくのが惜しくなる。旅の終わりのようだ。そう、この本で渡と旅をしているような気分になる。以下は、文庫裏表紙の解説。

『フォークソングが一世を風靡した頃、奇妙な曲「自衛隊に入ろう」が話題になった。「あたりさわりのないことを歌いながら、皮肉や揶揄などの香辛料をパラパラふりかけるやり方が好き」な高田らしいデビュー曲である。以後、世の流行に迎合せず、グラス片手に飄々と歌い続けて40年。いぶし銀のような輝きを放ちつつ逝った、フォークシンガー高田渡の酔いどれ人生記』。

Thelonious Monk / Complete Last Recordings: The London Collection

モンク名義のラストアルバム。1971年11月15日のロンドン。テイクを重ねながらも、1日で全29曲を録音したモンク。正直に言って、全盛期のモンクのポテンシャルは失ってしまったが、「いま、自分がやれるプレイを残すんだ」という強い意思が伝わってくる。かつて、この日の録音は3枚のLPに分散されていた。そのいずれもが廃盤状態。モンク生誕100年を記念して、コンプリート盤CDが2018年初頭にリリース。

Disc 1はソロ。Disc 2はラスト曲Trinkle Tinkleのソロを除いて、アル・マッキボン、アート・ブレイキーを従えたトリオ。ジャズのアルバムを聴いて、涙ぐむなんてことはないのだが、このアルバムには心を揺さぶられてしまう。それはラストアルバムということだけでなく、中平穂積氏の撮影によるジャケットのモンクが、何かを語りかけているように思えてくるからだ。

Disc 1
1. Trinkle Tinkle [take3]
2. Crepuscule With Nellie [take2]
3. Darn That Dream
4. Little Rootie Tootie
5. Meet Me Tonight In Dreamland
6. Nice Work If You Can Get It
7. My Melancholy Baby
8. Jackie-ing
9. Lover Man
10. Blue Sphere
11. Trinkle Trinkle [take2]
12. The Man I Love
13. Something In Blue
14. Introspection [take1]
15. Chordially (improvisation)

Disc 2
1. Evidence [take2]
2. Misterioso
3. Crepuscule With Nellie [take4]
4. I Mean You
5. Criss-Cross
6. Ruby, My Dear
7. Nutty [take2]
8. Hackensack [take2]
9. Crepuscule With Nellie [take3]
10. Nutty [take1]
11. Introspection [take3]
12. Hackensack [take1]
13. Evidence [take1]
14. Trinkle Tinkle [take1]

Thelonious Monk - piano
Al McKibbon - bass (Disc2 - tracks 1-13)
Art Blakey - drums (Disc2 - tracks 1-13)

Recorded on November 15, 1971 at Chappell Studios, London.

Thelonious Monk / Something In Blue

1984年1月付けの今井正弘氏によるライナーノーツから抜粋。「本アルバムは、1969年に倒れて以来、再三にわたり肉体的コンディションを壊し、ファンを心配させていたモンクが、71年にジョージ・ウェインの発案で《ジャイアンツ・オブ・ジャズ》なるヨーロッパへの巡業企画に参加し、ロンドンへ立ち寄った際にブラック・ライオンのプロデューサーであるアラン・ベイツが録音したものである。〈中略〉ツアーに同行したアート・ブレイキーも参加。モンクとブレイキーの共演盤というのは実に15年振りのことなのであった」。

15年前の共演というのは、57年6月録音のアルバムThelonious Monk With John Coltraneを指していて、正確には14年5ヶ月振り。そんな細かい事より、本作はモンク名義としてのラストアルバムとなってしまったことが重要。

モンクは1982年2月17日に他界。このレコーディングから10年以上の間、病に苦しんだらしい。そういうことを知って聴くと、納得してしまう部分がある。音数(オトカズ)が多いのだ。そんなに頻繁に鍵盤を叩く必要がないのに、隙間なくピアノから音が出ている。緊張感のあるシングルトーンも少なく、不協和音も多く聴かれない。だからと言って、決してモンクらしくないアルバムではないのだが、驚きを感じさせてはくれない。

1. Blue Sphere
2. Hackensack
3. Nice Work If You Can Get It
4. Criss Cross
5. Something In Blue
6. Evidence
7. Jackie-Ing
8. Nutty

Thelonious Monk - piano
Al McKibbon - bass (tracks 2,4,6,8)
Art Blakey - drums (tracks 2,4,6,8)

Recorded on November 15, 1971 at Chappell Studios, London.