Thelonious Monk / At The Blackhawk

モンクのちょっと怪しい寄せ集めアルバムIn PersonとEvidenceに、このブラックホークでのライブ演奏が分散し収録されていた。この2枚のLPを持っていて、本来のアルバムAt The Blackhawkのことはすっかり忘れていたが、最近になってようやく中古輸入盤CDを手に入れた。

レギュラー・カルテットに地元在住の2人、テナーサックスのHarold Land(ハロルド・ランド)とトランペットのJoe Gordon(ジョー・ゴードン)を加えている。その理由が、このアルバムのプロデューサーであるオリン・キープニュースのメモの中に記載されていた。モンクとシェリー・マンがそれぞれリーダーとなるアルバムを予定していたが、何かの都合で成立しなくなり、マンと組む予定だったランドとゴードンがモンクのグループに加わったらしい。モンクのディスコグラフィーによると、2人のモンクとの共演はこのとき限りなので、貴重な体験になったと思う。

ところで、ブラックホークというとマイルスのアルバムAt The Blackhawk Vol.1 & 2(1961年4月録音)が思い付く。所有アルバムの中に、ここでのライブ演奏は他には見つからなかった。意外に少ないと思い調べたところ、200人収容のナイトクラブで、1949年に開店し63年には閉店していた。ジャズマンにとっては、仕事の場が一つなくなったということになる。

以下は、キープニュースのメモからの抜粋。
It was actually a case of recording on the rebound. Although my original notes, as reproduced here, do not mention the fact, it is surely well known by now that we had abandoned an attempt at a Monk/Shelly Manne co-leader album and instead were taping Thelonious's working quartet plus the two horn players (Joe Gordon and Harold Land) scheduled for the Manne date. --- O.K.

1. Let's Call This
2. Four In One
3. I'm Getting Sentimental Over You
4. Epistrophy
5. Evidence
6. San Francisco Holiday (Worry Later)
7. 'Round Midnight
8. Epistrophy / Theme

Charlie Rouse - tenor saxophone
Harold Land - tenor saxophone
Joe Gordon - trumpet
Thelonious Monk - piano
John Ore - bass
Billy Higgins - drums

Recorded on April 29, 1960 at The Blackhawk, San Francisco.

Thelonious Monk / Thelonious Alone In San Francisco

タイトルとジャケットから容易に分かるように、サンフランシスコで録音されたソロアルバム。モンクのディスコグラフィーにはlive in San Franciscoと書いてある。ところが、拍手などは全く無く、モンクはまさしくAloneなのだ。不思議に思い、ジャケット裏の英文解説(筆者不明)と本アルバムのWikipediaを読んだところ、真相が見えて来た。

まず、録音会場はFugazi Hallという詩の朗読などで使われていた音響的に良い場所であることがわかった。さらに、そのホールでの録音と並行して、サンフランシスコのジャズクラブ・ブラックホークでのモンクのカルテットによるライブ演奏が組み込まれていたことが判明。プロデューサーであるオリン・キープニュースが、ライブの合間にソロの録音を企てたのだ。だが、ブラックホークの演奏は残っていないし、正確なメンバーも不明。モンクにとっては、息抜きで録音したピアノソロ。キープニュースは、一曲だけを除いてワン・テイクでOKを出した。録り直したのがThere's Danger In Your Eyes, Cherieのみで、CDには最初のテイクが追加された。つまり、演奏はAloneだが、キープニュースとの二人芝居。

1. Blue Monk
2. Ruby, My Dear
3. Round Lights
4. Everything Happens To Me
5. You Took The Words Right Out Of My Heart
6. Bluehawk
7. Pannonica
8. Remember
9. There's Danger In Your Eyes, Cherie [take 2]
10. Reflections
11. There's Danger In Your Eyes, Cherie [take 1]

Thelonious Monk - piano

Tracks 1 - 4, 7, 9 & 11
Recorded on October 20, 1959 at Fugazi Hall, San Francisco, CA.

Tracks 5, 6, 8 & 10
Recorded on October 21, 1959 at Fugazi Hall, San Francisco, CA.

Thelonious Monk / Five By Monk By Five

2012年12月4日付けのブログ「日々JAZZ」で、このアルバムについてこう書いた。「今夜、初めて発見した。このアルバムのタイトル。5曲を5人のメンバーでということだ!」。改めてWikipediaで調べたら、同じことが書いてあった。ちょっとがっかり。ところがである。CD化されてPlayed Twiceの別テイク2曲が加わってしまった。アルバムのコンセプトをぶち壊すような行為だが、CDなので気に入らなければスキップしろと言うことなのだろう。ちなみに、寄せ集めアルバムBlues Five Spotにはtake 1が、同様のアルバム'Round Midnightには、take 2が収められている。つまり、個人的には不要なトラックである。

さて、このアルバムで重要な存在はサド・ジョーンズ。モンクの曲をしっかりと解釈しアドリブを展開する。バックでモンクのピアノが入り込んできても、ガードが非常に固く自分のペースを守り切っている。そのためか、アルバム全体がカチッと整った印象を与える。まぁ、5x5なので整った構造なのだ。

1. Jackie-Ing
2. Straight, No Chaser
3. Played Twice [take 3]
4. Played Twice [take 1]
5. Played Twice [take 2]
6. I Mean You
7. Ask Me Now

Charlie Rouse - tenor saxophone
Thad Jones - cornet
Thelonious Monk - piano
Sam Jones - bass
Art Taylor - drums

Recorded on June 1, 2 & 4, 1959 in NYC.