Sam Rivers / Contours

緊張感はあるのだが、曲そのものにポテンシャルを感じない。全編、サム・リバース作。掴みどころのない曲ばかり。例えば、アフロ・ブルー。最初の1小節で、聴き手は身構える。その1小節が軸となって、どういう展開になるのか期待するからだ。残念なことに、このアルバムに収められた曲には、軸となるフレーズがなく、拡散する一方のような印象を与えてしまう。タイトルContours通り、輪郭だけを設定して録音に臨んだのだろうが、主役のリバースがセッションの方向性を導き出していない。メンバーは好き勝手に演奏しているだけ。リバースの統率力のなさを露呈してしまったアルバムなのだ。

ライナーノーツで、マイケル・カスクーナが次のように書いている(行方均氏:訳)。「本アルバムで、サムはハードバップの原点に立ち戻り、新しく挑戦的な楽曲をもってその境界を押し広げている。本セッションのためにサムが集めたのは60年代のベストといえるミュージシャンたちで、彼らの試みがハードバップという言語を拡張していくのだ」。カスクーナが言うように「挑戦的な曲」と捉えることはできるが、「未完成な曲」とも言えるのである。

1. Point Of Many Returns
2. Dance Of The Tripedal
3. Euterpe
4. Mellifluous Cacophony
5. Mellifluous Cacophony [alternate take]

Sam Rivers - tenor saxophone, soprano saxophone, flute
Freddie Hubbard - trumpet
Herbie Hancock - piano
Ron Carter - bass
Joe Chambers - drums

Recorded on May 21, 1965 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Sam Rivers / Fuchsia Swing Song

サム・リバースの初リーダーアルバム。1964年12月11日録音。リバースは、23年9月25日生まれなので、このとき41歳。そして、ドラムのトニー・ウィリアムスは45年12月12日生まれだから、18歳最後の日。親子ほどの歳の差がある二人が、刺激し合って本作の骨格を形成している。

全曲リバースの作品で、アルバム全体の印象は中空を浮遊するようなイメージ。聴き手に迫ってくるのではなく、しっかりと聴かないとどんどん離れていく感じ。それを捕まえるには、トニーのドラムを意識すること。ジャケットの超広角写真も「捕まえてみろ!」と言っている感じだ。

1. Fuchsia Swing Song
2. Downstairs Blues Upstairs
3. Cyclic Episode
4. Luminous Monolith
5. Beatrice
6. Ellipsis
7. Luminous Monolith [alternate take]
8. Downstairs Blues Upstairs [alternate take 1]
9. Downstairs Blues Upstairs [alternate take 2]
10. Downstairs Blues Upstairs [alternate take 3]

Sam Rivers - tenor saxophone
Jaki Byard - piano
Ron Carter - bass
Tony Williams - drums

Recorded on December 11, 1964 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.