Sarah Vaughan / At Mister Kelly's

所有する輸入盤CDには、Mister Kelly's(ミスター・ケリーズ)のオーナーであるOscar Marienthalによる紹介文が載っていて、その要約すると次のようになる。63年前の出来事。

「ケリーズの天井の周り隠された52台のスピーカーは、すべての観客にプライベートなパフォーマンスをもたらしてくれる。実は、私はサラのファンではなかった。ファンになる機会がなかったのだ。だが、洗練された音楽セットで彼女の計り知れない描画力を知っていたので、彼女と契約した。彼女は天使のような暖かさでやって来た。そして、40分間の催眠術をかけた(実際にはアルバムの収録時間35分35秒)。私はオーナーであることを忘れ、瞬く間にサラのファンになってしまった」。

1. September In The Rain
2. Willow Weep For Me
3. Just One Of Those Things
4. Be Anything But Darling Be Mine
5. Thou Swell
6. Stairway To The Stars
7. Honeysuckle Rose
8. Just A Gigolo
9. How High The Moon

Sarah Vaughan - vocals
Jimmy Jones - piano
Richard Davis - bass
Roy Haynes - drums

Recorded on August 6, 7 & 8, 1957 at Mister Kelly's, Chicago.

Sarah Vaughan / Sarah With Clifford Brown

本アルバムのキャッチコピー。「驚異的な声域と独特のフレージングで他の追随を許さないジャズ・ボーカルの女王サラ・ヴォーン初期の代表作。〈バードランドの子守唄〉の巧みなスキャットはこの曲の名唱の一つとされる。夭折の天才トランペッター、クリフォード・ブラウンとの器楽的な掛け合いも素晴らしい」。

短い文章で的確に本作を表現しているのだが、掛け合いが素晴らしいのはブラウンだけではない。もし、ブラウンが参加していなくても、サラの代表作となったアルバムである。そして、所有するジャズ・ボーカルのアルバムで「バードランドの子守唄」を歌っているのは、クリス・コナーのSings Lullabys Of Birdlandで、本作とほぼ同時期の録音。いやぁ、どちらも甲乙つけがたく見事なのである。

1. Lullaby Of Birdland
2. April In Paris
3. He's My Guy
4. Jim
5. You're Not The Kind
6. Embraceable You
7. I'm Glad There Is You
8. September Song
9. It's Crazy

Sarah Vaughan - vocals
Clifford Brown - trumpet
Paul Quinichette - tenor saxophone
Herbie Mann - flute
Jimmy Jones - piano
Joe Benjamin - bass
Roy Haynes - drums, snare drum

Recorded on December 16 & 18, 1954 in NYC.

Sarah Vaughan / After Hours [Columbia]

LPのライナーノーツで、青木啓氏はこう解説している。「サラ・ヴォーンはCBSコロンビアで、1949年1月から53年1月までの4年間に、68曲録音した。それらの中から代表的名唱を12曲セレクトして編んだのが、このアルバム。それぞれのレコードはSP、あるいは45回転シングル盤としてつくられたもので、かなりコマーシャルな企画の匂いがするし、ストリング入りのオーケストラがバックとなっているものもある。しかし、サラのボーカルは見事なものだ。バップの洗礼を受けた新しいコンセプションによる表現の魅力があり、すでに完成されたサラのオリジナリティが各曲に輝いている」。

青木氏が言う「コマーシャルな企画の匂い」とは何だろう。いわゆるベストアルバムは、どれもコマーシャルな企画である。そんなことよりも、アルバムタイトルを1曲目に収録されたAfter Hoursとしてしまったことが問題。オーケストラのバックでゆったりとした雰囲気に仕上がっているので、After Hoursという雰囲気ではない。このアルバムがリリースされたのは1955年。そして、61年9月にルーレットから同名のアルバムがリリース。こちらはAfter Hoursが収録されていないが、ギターとベースをバックにサラが歌い、その雰囲気が十分に出ている。

1. After Hours
2. Street Of Dreams
3. You Taught Me To Love Again
4. You're Mine, You
5. My Reverie
6. Summertime
7. Black Coffee
8. Thinking Of You
9. I Cried For You
10. Perdido
11. Deep Purple
12. Just Friends

Tracks 1 & 5 ... Recorded on June 1, 1951.
Track 2 ... Recorded on March 19, 1952.
Tracks 3 & 12 ... Recorded on July 7, 1949.
Tracks 4 & 6 ... Recorded on December 21, 1949.
Track 7 ... Recorded on January 20, 1949.
Track 8 ... Recorded on July 20, 1950.
Track 9 ... Recorded on September 28, 1949.
Track 10 ... Recorded on September 5, 1950.
Track 11 ... Recorded on April 4, 1951.