Ry Cooder / Get Rhythm

アルバムThe Slide Areaから5年半後の1987年11月録音。ライ・クーダー健在を示したアルバムである。80年代、ライは映画音楽を多く手掛け、本作を含めて自己名義のアルバムは3枚しかリリースしていない。ライの根底にある様々なジャンルのごった煮音楽が楽しめる。ただし、食べ残してしまうのはジャケットだけ。これだけは戴けない。イラストは構わないのだが、あまりにも暗すぎる。

聴き手によって意見は分かれると思うが、自分としては8曲目のAcross The Borderlineが最大の聴き所。名バラードである。1947年5月生まれのライ、そしてボブ・ディランは41年5月。ほぼ同世代であるものの、二人の音楽に接点はないと思っていた。ところが、ディランは86年2月のシドニーのライブで、この曲を歌い、アルバムタイトルをAcross The Borderlineとした。世界の様々な音楽を掘り起こすライの姿勢をディランは評価していたのだ。

ちなみに、この曲は1981年にパイオニアのカー・ステレオ「ロンサム・カーボーイ」のTVコマーシャルに使われ、その映像はYouTubeで確認できる。ラストシーンにSTANLEYのネオンサイン。

1. Get Rhythm
2. Low-Commotion
3. Going Back To Okinawa
4. 13 Question Method
5. Women Will Rule The World
6. All Shook Up
7. I Can Tell By The Way You Smell
8. Across The Borderline
9. Let's Have A Ball

Ry Cooder - guitar, vocals
Van Dyke Parks - keyboards
Flaco Jimenez - accordion
Steve Douglas - saxophone
Jorge Calderon - electric bass
Buell Neidlinger - acoustic bass (tracks 2,6,8)
Jim Keltner - drums
Miguel Cruz - percussion
Bobby King, Terry Evans, Arnold McCuller, Willie Greene Jr. - background vocals
Larry Blackmon - vocals (track 6)
Harry Dean Stanton - vocals (track 8)

Recorded in November 1987 at Ocean Way Studios, Los Angeles.

Ry Cooder / The Slide Area

ライナーノーツと対訳を中川五郎氏が担当し、締め括りにこう書いている(1982年4月2日付け)。「曲良し、歌良し、ギター良し。アメリカでも日本でも十分ファン層を掴んでいるライ・クーダーだが、熱いギタープレイが充満する楽しくポップなこの最新アルバムの登場によって、彼のファンの層はいっそう広がって行くに違いない」。

その通りだと思うのだが、自分が所有する20枚のライのアルバムの中では、ポップ過ぎて尖がっていない。新たなファンを獲得するだけでなく、それまでのコアなファンを失う危険性もあったアルバム。その結果は定かではないが。ライが写っているジャケットの中で、このアルバムだけが横を向いている。自信がなかった訳ではないだろうが、少し斜に構えてしまい、聴きたければ聴けばという感じ。

1. UFO Has Landed In The Ghetto
2. I Need A Woman
3. Gypsy Woman
4. Blue Suede Shoes
5. Mama, Don't Treat Your Daughter Mean
6. I'm Drinking Again
7. Which Came First
8. That's The Way Love Turned Out For Me

Ry Cooder - guitar, vocals
Bobby King, Willie Greene, Herman Johnson, John Hiatt, Bobby Baker, George McFadden - vocals
Jim Dickinson - keyboards, piano, electric piano, organ
William D. Smith - keyboards
Kazu Matsui - shakuhachi
John Hiatt - guitar
Tim Drummond - bass
Reggie McBride - bass
Chuck Rainey - bass
Ras Baboo Pierre - percussion
Jim Keltner - drums, vocals

Recorded in April 1982 at Ocean Way Recording, Santa Monica, California.

Ry Cooder / Borderline

20枚所有するライ・クーダーのアルバムの中で、本作は自分としては地味な存在。その理由は2つ。所有するのは、ほとんどが国内盤なのだが、本作は詳細録音データや解説が全く載っていない輸入盤。アルバムのバックグラウンドがわからないのだ。そして、もう1つの理由はジャケット。何を意味しているのだろうか。

ただ、Borderline(境界線)というタイトルはライの真骨頂。あらゆる要素の音楽を取り入れ、彼自身の音楽を築き上げてきた。このアルバムには特出すべき曲がないものの、ライらしい仕上がりとなっている。

1. 634-5789
2. Speedo
3. Why Don't You Try Me
4. Down In The Boondocks
5. Johnny Porter
6. The Way We Make A Broken Heart
7. Crazy 'Bout An Automobile (Every Woman I Know)
8. The Girls From Texas
9. Borderline
10. Never Make Your Move Too Soon

Ry Cooder - guitar, vibraphone, vocals
Jim Keltner - drums
George "Baboo" Pierre - percussion
Tim Drummond - bass
Reggie McBride - bass
William D. Smith - piano, organ, vocals
John Hiatt - guitar, vocals
Jesse Harms - synthesizer
Bobby King - vocals
Willie Green Jr. - vocals

Released in October 1980.