Ron Carter / Orfeu

スイングジャーナル誌ゴールド・ディスクに選定されたロン・カーターのアルバム。ウッドベースをやってきた自分としては、ベーシスト名義のアルバムがゴールド・ディスクになったので迷わず購入した。以下は、1999年4月20日付けでのカーター自身による解説の冒頭(聴き手:児山紀芳氏)。

「今回のアルバムでは南アメリカ、ブラジルのよく知られている歌いたくなるような素晴らしいメロディーを持つ曲とか私のオリジナル曲に比重がかかっている。昨今のジャズにはメロディーらしいメロディーがあまり出てこなくて、みんなが歌いたくなるような曲に出会うチャンスは滅多にない。その点、ブラジルの曲はリズムもメロディーも格別だし、今回は旋律の美しい、いい曲が主役なんだ」。本作に対するロンのコンセプトは理解できるが、旋律重視に偏り過ぎてエネルギー軽視になってしまった。2000年を迎える頃、ジャズの一つの流れだったのかも知れない。それを表現したので、ゴールド・ディスクになったのだろう。今だから言えるのかも知れないが、単なるBGMジャズでしかない。

1. Saudade
2. Manha De Carnaval
3. Por-Do-Sol
4. Goin' Home
5. 1:17 Special
6. Obrigado
7. Samba De Orfeu

Houston Person - tenor saxophone
Bill Frisell - guitar
Stephen Scott - piano
Ron Carter - bass
Payton Crossley - drums
Steve Kroon - percussion

Recorded in February 1999.

Ron Carter / Where?

エリック・ドルフィーに飢えていた時に購入したアルバム。名義がロン・カーターだろうが誰でも良かった。ドルフィーのアルバムAt The Five Spotを聴いて、彼の全ての音源を聴かなければと決めた。そんな病に冒されたジャズミュージシャンは、コルトレーン、マイルス、ミンガス、モンク、アイラー。彼等の音源は、ほぼ全て集めてきた。

1曲目はカーターの曲ながらドルフィー節が炸裂。ところが、2曲目でベーシスト名義のアルバムであることを認識。3曲目では、ベースによるテーマに続いてドルフィー節がまたも炸裂。ということで、発展途上にあったカーターをドルフィーがジャズの醍醐味へ導いたアルバムと言える。しかし、ドルフィーは一ヶ月後のファイブ・スポットでのライブで、カーターではなく何故かリチャード・デイビスを採用した。カーターの瞬発力が、まだ未熟だと感じたからだろう。ライブ演奏で生じるハプニングに追従できる力がまだないと判断。ちなみに、ドルフィーは1928年6月、カーターは37年5月生まれ。ドルフィーは約10年先輩である。

1. Rally
2. Bass Duet
3. Softly, As In A Morning Sunrise
4. Where?
5. Yes Indeed
6. Saucer Eyes

Eric Dolphy - alto saxophone, flute, bass clarinet
Mal Waldron - piano
Ron Carter - bass, cello
George Duvivier - bass
Charlie Persip - drums

Recorded on June 20, 1961 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.