Pharoah Sanders / Crescent With Love

輸入盤2枚組。2014年6月にAmazonから3,206円で購入。2枚組とは言え、3千円を超える輸入盤を注文するのはちょっとした冒険だ。それは演奏内容ではなく、ディスクに不備があった場合に返品が面倒だからである。それでも注文を決めたのは、その時、コルトレーン系のファラオ・サンダースのアルバムを無性に聴きたくなったから。

コルトレーンの作品5曲を含む全12曲。気迫のテナーサックスを聴くことができる。1940年10月13日生まれのサンダース。録音時点で52歳。コルトレーンの演奏と比較しても意味がない。コルトレーンは40歳で他界したのだ。年齢を重ねたサンダースが、コルトレーンの曲をどう解釈したかに本アルバムの価値がある。そして、サンダースもすでに80歳。彼のオフィシャル・サイトにあるライブスケジュールは空っぽだった。

Disc 1
1. Lonnie's Lament
2. Misty
3. In A Sentimental Mood
4. Softly For Shyla
5. Wise One
6. Too Young To Go Steady

Disc 2
1. Body And Soul
2. Naima
3. Feelin' Good
4. Light At The Edge
5. Crescent
6. After The Rain

Pharoah Sanders - tenor saxophone
William Henderson - piano
Charles Fambrough - bass
Sherman Ferguson - drums

Recorded on October 19 & 20, 1992 at Sear Sound Studio, NYC.

Pharoah Sanders / Welcome To Love

何度となく聴いてきたアルバム。1970年代から80年代、ファラオ・サンダースはコルトレーンの音楽を継承するミュージシャンの一人と言われてきたが、結局はコルトレーンに近づいたものの越えられなかった。しかし、1990年になって、このアルバムを録音。しかも、コルトレーンの命日7月17日に録音を開始したということは、ある意味吹っ切れたのだろう。全曲バラードであり、サブタイトルがPlays Beautifull Balladsとなっている。

1962年に録音されたコルトレーンのアルバムBalladsを、30年近く経って自分なりの解釈で演奏したい!という欲求が出てきたと推測する。間違いなく彼の代表作であり、この瞬間はコルトレーンを越えたと言いたい。名盤である。そして、本作の録音から2年後の92年10月、同じカルテットの構成で、ピアノにウィリアム・ヘンダーソンを再度迎え、さらに深化したバラードの2枚組アルバムCrescent With Loveを録音することになる。

1. My One And Only Love
2. Say It (Over And Over Again)
3. You Don't Know What Love Is
4. I Want To Talk About You
5. Nancy (With The Laughing Face)
6. Polka Dots And Moonbeams
7. The Nearness Of You
8. Moonlight In Vermont

Pharoah Sanders - tenor saxophone, soprano saxophone
William Henderson - piano
Stafford James - bass
Eccleston W. Wainwright - drums

Recorded on July 17, 18 & 19, 1990 at Studio Gimmick, Yerres, France.

Pharoah Sanders / Africa

最初の一音でノックアウトされる。全8曲中、ファラオ自身の曲が6曲。このアルバムでピアノ弾くジョン・ヒックス作1曲、コルトレーンのNaima、そしてスタンダード曲のSpeak Lowというバランスの取れた構成。80年代後半、ファラオはストレートでアグレッシブなジャズをやっていたのだ。

注目すべきはSpeak Lowを選曲したこと。ファラオのディスコグラフィーによると、この曲を録音したのは、このアルバムAfricaのみ。ソニー・クラークの1957年9月録音のアルバムSonny's Cribでは、ドナルド・バード、カーティス・フラー、ジョン・コルトレーンの豪華3管フロントでSpeak Lowを録音。ファラオが一本のテナーで3管に対抗した訳ではないだろうが、Naimaを含めてトレーンへの何らかの想いがあったのかも知れない。

1. You've Got To Have Freedom
2. Naima
3. Origin
4. Speak Low
5. After The Morning
6. Africa
7. Heart To Heart
8. Duo

Pharoah Sanders - tenor saxophone
John Hicks - piano
Curtis Lundy - bass
Idris Muhammad - drums

Recorded on March 11, 1987 in Monster, Netherlands.