ポール・チェンバースが、これだけのメンバーを集めてリーダーアルバムを録音したのは1957年5月19日。このデータは重要である。マイルスがアルバムMiles Aheadを録音したのは、同月の4日間(6, 10, 23, 27日)。そこにはチェンバースが参加。つまり、ギル・エバンスのアレンジに縛られるマイルスとのセッションの合間に、自分がやりたいジャズに取り組んだ訳である。かなり気合いが入っていたに違いない。The Hand of LoveとBeauteousはチェンバースの作品である。
最大の聴きどころは、3曲目の「朝日のごとくさわやかに」。フロントの2管が退いて、ベース・ピアノ・ドラムのトリオ演奏。チェンバースは、原曲のメロディーを忠実にウッドベースで表現している。アドリブで原曲を崩していっても、メロディーだけで魅了できる「力(ちから)」を備えている曲には太刀打ちできないということだろう。ならば、ウッドベースと言う楽器で、その「力」を表現できるかに徹したのではないだろうか。こういう飾らない演じ方に、チェンバースの本質を感じてしまう。だからジャズはやめられない。
1. Minor Run-Down
2. The Hand Of Love
3. Softly, As In A Morning Sunrise
4. Four Strings
5. What's New
6. Beauteous
7. Four Strings [alternate take]
Clifford Jordan - tenor saxophone (tracks 1,2,4-7)
Donald Byrd - trumpet (tracks 1,2,4-7)
Tommy Flanagan - piano
Paul Chambers - bass
Elvin Jones - drums
Recorded on May 19, 1957 at Rudy Van Gelder Studio in Hackensack, New Jersey.