Pat Metheny / Song X: Twentieth Anniversary

ジャズが混沌としていた80年代半ば、パット・メセニーはオーネット・コールマンと物凄く密度の高い音楽を創り上げた。そして、そこにはチャーリー・ヘイデンとジャック・ディジョネットが参加。コールマンの息子であるデナードも。録音から20年後の2005年。時代はLPからCDに変わり、曲目を追加し再度マスタリングして発売された。さらにそれから10年。コールマンは2015年6月に帰らぬ人となってしまったが、このSONG Xの価値は録音から35年以上経った今でも衰えていない。以下は、メセニー自身によるライナーノーツ(2005年5月付け)からの抜粋。

「このプロジェクトでコラボレーションしていた当時、オーネットと私は、時間を掛けて私たちが成し遂げるべき目標について話し合っていました。その話し合いの中で常に出てき続けたテーマの一つが、今まで誰も創ったことのないレコードを作ろうというものでした。あの当時でさえ、この作品は、他の作品とかけ離れたところに位置付けられていたように思えます。〈SONG X:20th アニバーサリー〉エディションは、その当時の作品の改良版のように思えますし、私たちの努力の成果を、更に完成させた形で表していると思います」。

1. Police People
2. All Of Us
3. The Good Life
4. Word from Bird
5. Compute
6. The Veil
7. Song X
8. Mob Job
9. Endangered Species
10. Video Games
11. Kathelin Gray
12. Trigonometry
13. Song X Duo
14. Long Time No See

Ornette Coleman - alto saxophone, violin
Pat Metheny - guitar, guitar synthesizer
Charlie Haden - acoustic bass
Jack DeJohnette - drums
Denardo Coleman - drums, percussion

Recorded on December 12, 13 & 14, 1985 in NYC.

Pat Metheny / First Circle

だめだ。酒のつまみにならない音楽。インプロビゼーションもインタープレイも感じない。決まった進行の中で、それぞれの楽器屋が自己表現しているだけ。ECMというレーベルの弱点を現してしまったアルバム。緊張感と爽快感は紙一重だが、時代を超えて評価されるのは緊張感。それがジャズ。

ECMは時代を先取りしてきたレーベル。だけど、いつしか時代を読めなくなった。このアルバムは、その変曲点にあったのだろうか。フュージョンと呼べるほどのリズムの疾走感はない。全体的にドラマチックな印象は受けるので、まるで映画音楽のようだ。まさしく、これはサークル活動だな。

1. Forward March
2. Yolanda, You Learn
3. The First Circle
4. If I Could
5. Tell It All
6. End Of The Game
7. Mas Alla (Beyond)
8. Praise

Pat Metheny - guitar, Synclavier guitar, sitar, slide guitar, acoustic guitar, acoustic 12-string guitar
Lyle Mays - piano, synthesizers, Oberheim, agogô bells, organ, trumpet
Steve Rodby - bass guitar, acoustic bass, bass drum
Pedro Aznar - glockenspiel, voice, bells, acoustic guitar, percussion, whistle, guitar acoustic 12-string guitar
Paul Wertico - drums, field drum, cymbal

Recorded on February 15 - 19, 1984 at Power Station, NYC.

Pat Metheny / Rejoicing

かなり期待して購入したアルバムである。残念ながら、その期待には応えてもらえなかった。密度の濃い演奏ながら、振幅が足りない。聴き手が感じ取ろうとする前に、演奏がどんどんと先に行ってしまい、指の間を通り抜け掴み取れない。果たして、演奏する側はどうだったのだろうか。

Rejoicing(歓喜)に満ちた瞬間には出会えるが、アルバムを聴き終わった後の爽快感がない。その理由は、ギター、ベース、ドラムという構成にあったように思う。この構成に合う曲を用意できなかったと言えそうだ。オーネット・コールマン作の3曲が演奏されたことをトピックスとして取り上げられているが、このアルバムを語る上では、本質的な要素とは思えない。

1. Lonely Woman
2. Tears Inside
3. Humpty Dumpty
4. Blues For Pat
5. Rejoicing
6. Story From A Stranger
7. The Calling
8. Waiting For An Answer

Pat Metheny - guitars
Charlie Haden - bass
Billy Higgins - drums

Recorded on November 29 & 30, 1983 at Power Station, NYC.