Ornette Coleman / An Evening With Ornette Coleman

コールマンは、1962年12月のタウンホールでの演奏を終え、その後姿を消した。ロリンズのように、新たな方向性を見いだすために隠遁生活を送っていたのではない。単純に仕事が来なかったため。そして、65年1月にビレッジ・バンガードへの出演、映画『チャパカ』の音楽制作依頼が入り、復活の機会を得た。この空白の期間に、トランペットとヴァイオリンの練習に励んだらしい。その成果がこのライブで披露されている。

ライブは、イギリスの代表的室内楽団であるヴァーチュオーゾ・アンサンブルの演奏から始まる。これは、当時の面倒な規約によるものだった。しかしながら、違和感がほとんどなく、コールマン・トリオへと続いている。コールマン復活となったライブ演奏。1965年8月のイギリスでの公演に続き、11月にパリ、そしてストックホルムで演奏。アルバムAt The Golden Circle Stockholm Vol.1 & 2が、本アルバムより早く世に出たため、大いに脚光を浴びることになった。

Disc 1
1. Sounds And Forms For Wind Quintet
2. Sadness
3. Clergyman's Dream

Disc 2
1. Falling Stars
2. Silence
3. Happy Fool
4. Ballad
5. Doughnuts

Ornette Coleman - alto saxophone, violin & trumpet (disc 2, track 1)
David Izenzon - bass
Charles Moffett - drums

Virtuoso Ensemble (disc 1, track 1)
Edward Walker - flute / Derek Wickers - oboe / John Burden - English horn
Cecil James - bassoon / Sidney Fell - clarinet

Recorded on August 29, 1965 at Fairfield Halls, Croydon, London.

Ornette Coleman / Chappaqua Suite

映画『チャパカ』で使われるはずだった。だが、採用されなかった。その真相はどうも良く分からない。この80分に渡る組曲を改めて聴くと、完全にコールマンの世界。音楽を映像へつなげるような大胆な静と動のパターンがあまりなく、映画に使うことは難しかったのだと想像できる。ではなぜに、コールマンに依頼したのか。ボツになったコールマンはどう受け止めたのか。もう56年前の出来事である。

Wikipediaにそのヒントがあるのではと調べたところ、「映画監督Conrad Rooks(コンラッド・ルークス)は、コールマンの音楽を聞いて、その固有の美しさが映画の力を損なう可能性があると判断し使用しなかった」とあった。そもそも、ルークスはコールマンの音楽を理解していなかったのだ。結果的に、3日間のセッションで17分から21分の演奏時間による4部作の組曲になったが、明らかに2枚組LPでリリースするために編集されている。Part 1はフェイドアウト、Part 2と3は演奏を途中で区切り、Part 4はあっさりとした幕切れ。つまり、コールマンは「組曲」を演じたのではなく、プロデューサーがアルバムに詰め込んだということ。「チャパカ組曲」ではなく「チャパカ詰曲」。

1. Chappaqua Suite, Part 1
2. Chappaqua Suite, Part 2
3. Chappaqua Suite, Part 3
4. Chappaqua Suite, Part 4

Ornette Coleman - alto saxophone
Pharoah Sanders - tenor saxophone
David Izenzon - bass
Charles Moffett - drums
Orchestra arranged by Joseph Tekula

Recorded on June 15, 16 & 17, 1965 in NYC.

Ornette Coleman / Town Hall 1962

ドン・チェリー、チャーリー・ヘイデン、エド・ブラックウェルなどのメンバーを一新。ベースにデヴィッド・アイゼンゾン、ドラムにチャールズ・モフェットを迎えた新生コールマン・トリオのお披露目コンサート。1962年12月のタウンホールでのライブであるが、このアルバムにはコールマン抜きの弦楽器カルテットの1曲が含まれている。全4曲がコールマンの作品なので、コンサートに弦楽器カルテットを組入れたのはコールマン自身の企画だったのだろう。しかし、ちょっと無理があったような気がする。それは観客の拍手からうかがい知れる。

タウンホールは1921年1月にオープン。自分が所有するアルバムで、タイトルにTown Hallが入っているものを録音順に調べてみた(括弧内の年月は追記)。Town Hallは入っていないが、キース・ジャレットのアルバムThe Cureは1990年4月のタウンホールでのライブ。なお、LPのジャケットはコールマンを描いたスケッチだったが、CDではコールマンの写真に変わっている。

Louis Armstrong / The Complete Town Hall Concert (May 1947)
Thelonious Monk / The Thelonious Monk Orchestra At Town Hall (February 1959)
Charles Mingus / The 1962 Town Hall Concert (October 1962)
Ornette Coleman / Town Hall 1962 (December 1962)
Charles Mingus / Town Hall Concert 1964 (April 1964)
Bill Evans / Bill Evans At Town Hall (February 1966)
Anthony Braxton / Town Hall 1972 (May 1972)

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1. Doughnut
2. Sadness
3. Dedication To Poets And Writers
4. The Ark

Tracks 1, 2 & 4
Ornette Coleman - alto saxophone, trumpet, violin
David Izenzon - bass
Charles Moffett - drums

Track 3
Selwart Clarke, Nathan Goldstein - violin
Julian Barber - viola
Kermit Moore - cello

Recorded on December 21, 1962 at The Town Hall, NYC.