Miles Davis / Dig

マイルス・デイビス自叙伝①には、本作についてこう書かれている。「プレスティッジは、マイクログルーブという新しい技術を使って、レコーディングしようとしていた。〈中略〉つまり、クラブのライブみたいに、長いソロが取れるというわけだ。信じられなかった。オレは、33 1/3回転盤でレコーディングする最初のミュージシャンになろうとしていたし、この新技術がもたらす自由な可能性に興奮していた。それまでの、お決まりの3分間の演奏には飽き飽きしていたんだ。大急ぎでソロを始めて終わらせなくちゃならないし、本当に自由なソロを取る余裕なんてなかったんだ」。マイクログルーブ、すなわちLPについて調べたところ、ジャズアルバムとして本作が最初に3分の壁を破ったのは確からしい。

さらに、自叙伝はこう続く。「オレはレコーディングのために、ソニー・ロリンズ、アート・ブレイキー、トミー・ポッター、ウォルター・ビショップ、ジャッキー・マクリーンを集めたが、これがジャッキーの初レコーディングにもなった。このレコーディングは、最高の演奏になった。トランペットの練習は十分、おまけにバンドのリハーサルもやったから、誰もが素材やアレンジに慣れていた。ソニーはここでもたいした演奏をしたが、ジャッキーもよくやった」。マイルスのロリンズへの過大評価には首をかしげてしまうが、本作以降のロリンズの進化を我々は知っているからなのだ。

1. Dig
2. It's Only A Paper Moon
3. Denial
4. Bluing
5. Out Of The Blue
6. Conception
7. My Old Frame

Miles Davis - trumpet
Sonny Rollins - tenor saxophone
Jackie McLean - alto saxophone
Walter Bishop Jr. - piano
Tommy Potter - bass
Art Blakey - drums

Recorded on October 5, 1951 at Apex Studio, NYC.

Milestone Jazzstars / Milestone Jazzstars In Concert

1976年6月29日、ニューポート・ジャズ・フェスティバルで「ハービー・ハンコックの追想」というプログラムが組まれ、ハンコックが3つのグループをセット。V.S.O.P.と称された。その時から4ビート回帰の流れが始まった。その2年後、マイルストーン・レーベルが、V.S.O.P.に対抗して「マイルストーン・ジャズスターズ」を旗揚げ。オリン・キープニュースによる企画。ロン・カーターは両方に所属した浮気者である。

このジャズスターズは、1978年9月16日から10月29日まで全米20か所でツアーが行われた。2枚組LPには、3か所でのライブ演奏が収録され全9曲。2枚組CDで、I Mean Youの1曲が追加された。楽器編成は極めて変則的で、下記のように曲目によってメンバーが変わる。当時、V.S.O.P.と比較されたが、残念ながら横綱と小結ぐらいの差があった。理由は簡単で、新たなジャズを切り拓こうとしたV.S.O.P.に対して、波に乗ろうとしたマイルストーンズのメンバー。いや、キープニュースの策略。V.S.O.P. (= Very Special Onetime Performance) は名称に反して1回だけでは終わらなかったが、Milestone Jazzstarsは一発花火だった。

1. Quartet / 2. Tyner & Carter / 3. Rollins / 4. Quartet / 5. Quartet
6. Quartet / 7. Carter / 8. Rollins & Tyner / 9. Tyner / 10. Rollins, Carter & Foster

* * *
Disc 1
1. The Cutting Edge
2. Alone Together
3. Continuum
4. Nubia
5. I Mean You

Disc 2
6. N.O. Blues
7. Willow Weep For Me
8. In A Sentimental Mood
9. A Little Pianissimo
10. Don't Stop The Carnival

Sonny Rollins - tenor saxophone, soprano saxophone (track 4)
McCoy Tyner - piano
Ron Carter - bass
Al Foster - drums

Recorded on September 22 and October 15 & 22, 1978.