Lester Bowie / Rope-A-Dope

このアルバムをプロデュースしたマイケル・カスクーナが、LPのライナーノーツで興味深いことを書いている(翻訳:瀬戸千也子)。『「ロープ・ア・ドープ」は、ムハメッド・アリが巧みに相手を打ちのめす時のような、重量級の一戦の動きとテンポを音楽で劇化したものである。アリはこの「ロープ・ア・ドープ」という言葉を、彼が雑作なく打ち負かせるように思える対戦相手が延々と連なっていることを表現するのに使っている。このアルバムの音楽はアリからインスピレーションを得て作られたものであり、アリに捧げられたものである』。

アリのWikipediaによると、1974年10月30日、ジョージ・フォアマンを8回KO勝ちで破り王座に返り咲いたときの戦法がrope a dopeとあった。CDのライナーノーツは藍良章氏が担当(Akira Aylerと読むらしい)。藍良氏もアリのことに触れているが、カスクーナの解説を引用せず、まるで自分が仕入れた情報のように書いている。

1. Tender Openings
2. St. Louis Blues (Chicago Style)
3. Mirage
4. Rope-A-Dope

Lester Bowie - trumpet
Joseph Bowie - trombone (tracks 2,4), percussion (track 1)
Malachi Favors Maghostut - bass
Don Moye - drums (tracks 1,2,3), congas (track 4)
Charles Bobo Shaw - drums (tracks 1,2,4)
Raymund Cheng - violin (track 1)

Recorded on 17 June 1975 at Blue Rock Studios, NYC.

Lester Bowie / Fast Last!

プロデューサーはMichael Cuscuna(マイケル・カスクーナ)。LPのライナーノーツでは、マイケル自身がこのアルバムを解説(翻訳:瀬戸千也子)し、「慣例と分類を求める、典型的な西欧社会的思考様式の持ち主にとって、レスター・ボウイは前々からどうも扱いにくい存在である。それはともかく、このレスター・ボウイとはどんな人物なのだろうか?」との問いかけから始める。

その後、レスターの略歴と参加メンバーを紹介して(曲の紹介なし)、「この文を何回読んでも、レスター・ボウイとは一体何者なのか、ここに登場する他のミュージシャンはどんな人たちなのかという核心には近付けないだろう。しかし、このレコードを聴けば、一遍に彼らに近付くことができる」と結ぶ。

プロデューサーでさえ、言葉で表現しにくいアルバム。コールマンのロンリー・ウーマンからスタートし、中間にはジョン・ヒックスとのデュオでハロー・ドーリー、ラストはトランペット1本とドラム3台の格闘技。どんなスタイルでも瞬時に展開できる「万華鏡ジャズ」。

1. Lonely Woman
2. Banana Whistle
3. Hello Dolly
4. Fast Last / C
5. F Troop Rides Again

Tracks 1 & 2
Lester Bowie - trumpet
John Stubblefield - tenor saxophone
Julius Hemphill - alto saxophone, arrangements (track 1)
Joseph Bowie - trombone
Bob Stewart - tuba
John Hicks - piano
Cecil McBee - bass
Phillip Wilson - drums

Track 3
Lester Bowie - trumpet
John Hicks - piano

Track 4
Lester Bowie - trumpet, flugelhorn
Julius Hemphill - alto saxophone
John Hicks - piano
Cecil McBee - bass
Phillip Wilson - drums

Track 5
Lester Bowie - trumpet
Phillip Wilson - drums
Jerome Cooper - drums
Charles Shaw - drums

Recorded in September 1974 at C.I. Recording Studios, NYC.

Lester Bowie / Numbers 1&2

AEOC - Art Ensemble Of ChicagoのファーストアルバムA Jackson In Your Houseが録音されたのは1969年6月。それに先立つ2年前の67年8月、AEOCの中心メンバーとなったレスター・ボウイによるポスト・フリーと言える作品。どこを起点にポストと呼ぶかは、様々な意見があるだろう。一つの解はコルトレーンの命日。67年7月17日とできると思う。そうであれば、このアルバムは、ポスト・フリーの第一弾とも言える。

では、「フリージャズ」の定義は?これはかなり難しい。フリーを「自由」と捉えてしまうと、フリージャズ以外は「不自由」となってしまう。フリーを「解放」とするとどうだろう。これも、しっくりこない。ということで、このアルバムをどう位置づけるかは、聴き手のフリーなのである。

1. Number 1
2. Number 2 quartet version take 6
3. Number 2 quartet version take 7

Lester Bowie - trumpet, flugelhorn, steer horn, kelp horn
Roscoe Mitchell- alto saxophone, soprano saxophone, flute, recorder, gourd, bells, gong
Malachi Favors - bass, kazoo
Joseph Jarman - alto saxophone, soprano saxophone, clarinet, bassoon, bells (tracks 2,3)

Recorded on August 11 & 25, 1967 at Sound Studios.