3曲目は「高知」そのものがタイトルなのだが、2曲目の詩の中で「いつか高知へ引越したい」と唄っている。メンフィスで録音したアルバムであるが、加川良の中にある「南行き」は高知。高知の何が、加川をそれだけ引き付けるのか?加川の詩、曲、声に飽きがくることがない。つまり、古さを感じないということだ。拓郎の場合、初期のアルバムを聴きたいと思うことはめったにない。なんだか自分を振り返る感じがするから。加川は時代を唄ってきた訳ではないということだろうか。
ライナーノーツで小川真一氏が、こう分析している。「いわゆる世間でいうところのフォークソングから、どれだけ距離を置くことができるかが、〈アウト・オブ・マインド〉以降の加川良のテーマだったように思う。フォークを毛嫌いするといった意味ではなく、ひとりのシンガーソングライターの作品として聞いてもらうためには、古い外套を脱ぎ捨てる必要があったのだ」。メンフィス録音の理由は分かったが、高知の回答は得られなかった。
1. 転がりつづける時
2. カントリーハット・ポップ
3. 高知
4. ホームシック・ブルース
5. あの娘に乾杯
6. 窓辺にもたれて
7. アラバマ
8. ジョーのバラッド
9. 地平線
10. 北風によせて
加川良 - vo
石田長生 - gt, tambourine, arr
中川イサト - gt
Gene Chrisman - ds
Leroy Hodges - el-b
Charles Hodges - org
James Hooker - p, org
Ace Cannon - ts
Wayne Jackson - tp
Andrew Love - ts
Lewis Collins, Jr. - ts
James Mitchell - bs
Jack Hale - tb
Rhodes, Charles & Rhodes - background vo
The Memphis Strings
テキサス州メンフィス録音 1976年7月 / 発売 1976年10月