Joe Farrell / Outback

ジョー・ファレルが参加したチック・コリアのカモメ、つまりアルバムReturn To Foreverのちょうど3か月前、1971年11月4日の録音。本作とカモメの共通メンバーは、この2人以外にアイアート・モレイラ。従って、本作にはカモメ的雰囲気が漂うのだが、バスター・ウィリアムスのベース、エルビン・ジョーンズのドラムによって、カモメよりは重心が低い感じだ。カモメが助走に時間を掛け、水面から飛び立つイメージ。

カモメは、その名の通りジャケットが見事なアイコンとなった。本作も負けていない。ジャケットを見開いた時に強烈な印象を与える。インテリアとしても使える写真で、写真家Pete Turner(ピート・ターナー)の作品。彼のサイトでこの写真を見つけることができた(URLは以下に記載)。本来はもっと明るい仕上がりの写真だが、ジャケット用にインパクトを抑えたようだ。つまり、ジャケットも重心が低い。ちなみに、彼の写真はビル・エバンスのMontreux II、ウェス・モンゴメリーのRoad Songなどのアルバムで使われている。

https://www.peteturner.com/Africa/index.html

1. Outback
2. Sound Down
3. Bleeding Orchid
4. November 68th

Joe Farrell - tenor saxophone, soprano saxophone, flute, alto flute, piccolo
Chick Corea - electric piano
Buster Williams - bass
Elvin Jones - drums
Airto Moreira - percussion

Recorded on November 4, 1971 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Joe Farrell / Joe Farrell Quartet

Kindle読み放題で見つけた書籍『ジャズ名盤30』。その30番目に紹介されたジョー・ファレルの初リーダーアルバム。この本の著者は、高田馬場のジャズ喫茶『マイルストーン』のマスター織戸優(おりと まさる)氏。本作を次のように評している。ちなみに、『マイルストーン』は2019年7月31日に閉店。

「本作は、ジョー・ファレルをリーダーとしているが、実質はマイルス・バンドを取り込んだチック・コリアのリーダー作だ。マイルスグループの緊張を強いられるハードなセッションで鍛え上げられたミュージシャン達によって強靭なサウンドが組み立てられる。〈中略〉その後におけるチック・コリアの歩みを予言する作品であり、生涯の傑作となった」。

織戸氏の「コリアの生涯の傑作」に魅かれて購入してみたが、自分にはコリア風味があまり感じられない。ましてや、ファレルはマイルスとのアルバムでの共演は全く無いのだ。ファレル以外のメンバーは、本作の1年前、マイルスのアルバムBitches Brewに参加。しかし、ファレルとしては、それはどうでもいいことで、初の自分名義のアルバムに全力投球したはずだ。全6曲中の4曲がファレルの作品であることも、それを示している。

1. Follow Your Heart
2. Collage For Polly
3. Circle In The Square
4. Molten Glass
5. Alter Ego
6. Song Of The Wind
7. Motion

Joe Farrell - tenor saxophone, flute, oboe
John McLaughlin - guitar (tracks 1,7)
Chick Corea - piano (except track 5)
Dave Holland - double bass (except track 6)
Jack DeJohnette - drums (except tracks 5,6)

Recorded on July 1 & 2, 1970 at Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.