Helen Merrill / With Clifford Brown

所有していたLP、そしてジャズ喫茶で何度となく聴いてきたアルバム。A面最初の'S Wonderfulから始まりYou'd Be So Nice To Come Home Toへと続く流れが、自分の神経回路の中で完璧に出来上がっていた。何度も聴き続けて来たアルバムは、全体でその価値を受け止めていたということである。

ところが、CDを購入したところ、LP では最終曲だったDon't Explainと'S Wonderfulが入れ替わっていたのだ。Don't Explainだろうが、説明して欲しい気持ち。ところがである、ジャケットを見直すと、Don't Explainが最初に書かれている。明らかではないが、発売当時の国内盤LPは曲順を間違えてプレスしてしまったのではないだろう。つまり、自分にとっては曲順にこだわりたい大事なアルバムなのである。

1. Don't Explain
2. You'd Be So Nice To Come Home To
3. What's New
4. Falling In Love With Love
5. Yesterdays
6. Born To Be Blue
7. 'S Wonderful

Tracks 1, 2, 6 & 7
Helen Merrill - vocals
Clifford Brown - trumpet
Danny Banks - baritone saxophone, flute
Jimmy Jones - guitar
Milton Hinton - bass
Osie Johnson - drums
Recorded on Decmeber 22, 1954.

Tracks 3, 4 & 5
Helen Merrill - vocals
Clifford Brown - trumpet
Danny Banks - baritone saxophone, flute
Jimmy Jones - guitar
Oscar Pettiford - bass
Bob Donaldson - drums
Recorded on December 24, 1954.

Hank Mobley / No Room For Squares

最近、このアルバムの存在を知った。Amazonで調べてみたら、輸入盤新品で950円(送料含む)とあり迷わず購入。2つのセッションによるアルバム構成。フィリー・ジョー・ジョーンズ以外は、トランペット、ピアノ、ベースが入れ替わっている。それでも、アルバム全体に統一した雰囲気が出ているのは、別テイクを除く6曲(ハンク・モブレー作4曲、リー・モーガン作2曲)すべてがモーダルな印象を与えるからだろう。

挿入曲でありアルバムタイトルになっているNo Room For Squaresは、「四角四面(軟弱)なヤツは入室禁止」といった感じだろう。それに合わせてジャケットを工夫している。左上にタイトルが四角で囲まれ、モブレーは謎めいた輪の中に。謎解きの答えは、ジャケットに折り込まれた写真にあった。

1. Three Way Split
2. Carolyn
3. Up A Step
4. No Room For Squares
5. Me 'N You
6. Old World, New Imports
7. Carolyn [alternate take]
8. No Room For Squares [alternate take]

Tracks 3 & 6
Hank Mobley - tenor saxophone
Donald Byrd - trumpet
Herbie Hancock - piano
Butch Warren - bass
Philly Joe Jones - drums

Recorded on March 7, 1963 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Tracks 1, 2, 4, 5, 7 & 8
Hank Mobley - tenor saxophone
Lee Morgan - trumpet
Andrew Hill - piano
John Ore - bass
Philly Joe Jones - drums

Recorded on October 2, 1963 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Hank Mobley / Another Workout

ハンク・モブレー自身のアルバムWorkoutは、1961年3月録音。同年12月に録音されたのが本作なので、Another Workoutとタイトルされ、ジャケットも続編のようなイメージ。しかしながら、前作に参加したグラント・グリーンは、本作では抜けているので演奏の雰囲気は大きく異なる。しかも、リリースは85年なので20年以上も倉庫に眠っていた音源。マイケル・カスクーナによって発掘された訳であるが、ボツになった音源であることを隠すため、Workoutの別テイクのように装ってリリースされた。商魂たくましいブルーノートのいやらしさを感じる。

では、なぜにボツになったのか。2枚のアルバムを続けて聴くと答えは簡単。前作に比べて、本作には勢いがない。61年前半はマイルスグループに在籍していたモブレー。その頃のWorkout、マイルスのもとを去ってからのAnother Workoutで、マイルスは「61年4月、〈中略〉モブレーはイマイチだったから、音楽に飽きがきはじめていた」と自叙伝で書いている。モブレーのディスコグラフィーを見ると、61年後半の録音は本作のみ。62年は全く録音していない。自信を失っていた時期と推測でき、After Workoutとすべきだった。

1. Out Of Joe's Bag
2. I Should Care
3. Gettin' And Jettin'
4. Hank's Other Soul
5. Hello Young Lovers

Hank Mobley - tenor saxophone
Wynton Kelly - piano
Paul Chambers - bass
Philly Joe Jones - drums

Recorded on December 5, 1961 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.