はっぴいえんど / HAPPY END

はっぴいえんどは、1970年代初めに登場し日本のロックを塗り替え、疾風の如く去ってしまった。アルバム『はっぴいえんど』で旗揚げ、2枚目の『風街ろまん』で頂点に立ち、このアルバム『HAPPY END』で完結させたのである。

「風来坊」で始まり、「さよならアメリカ さよなら日本」で終わるアルバム。その時間はわずか30分11秒。完結作も疾風の如く。彼らの春は、牛乳瓶に詰められてしまったのだ。

「明日あたりはきっと春」(作詞:松本隆)

冬化粧 白は流れて
砂糖菓子の街 ひっそりと
テーブルには
牛乳瓶に詰められた ぼくらの春が
・・・
・・・

1. 風来坊
2. 氷雨月のスケッチ
3. 明日あたりはきっと春
4. 無風状態
5. さよなら通り3番地
6. 相合傘
7. 田舎道
8. 外はいい天気
9. さよならアメリカ さよなら日本

細野晴臣 - electric bass, mandolin, acoustic guitar, piano
大瀧詠一 - acoustic guitar
松本隆 - drums, percussion
鈴木茂 - electric guitar, acoustic guitar

Released on February 25, 1973.

はっぴいえんど / ライブ!!

はっぴいえんどの解散コンサート。1973年9月21日。なぜか足を運ばなかった。すでに解散状態だったはっぴいえんどなので、コンサートの告知に気が付かなかったのだろう。1972年8月31日、五つの赤い風船の日比谷野外音楽堂での解散コンサートには行ったのだが。LPには、松本隆の「はやすぎた回想録」がジャケットの赤い日付部分を上に開くと載っている。その最初と最後の部分を以下に掲載。

『正直に言って、ぼくら4人の誰もが、あの晩のコンサートに乗り気がじゃなかった。それは別れてから辿りはじめた個々の道を歩くのにせいいっぱいで、一年もたたないうちにまた同じステージの上に立って何をしたらいいのかもわからなかったからだ。〈中略〉あの晩の最後の方で大瀧氏が喋った言葉をトラック・ダウンして聞き取った時、ぼくは茂に向かって思わず「いいね」と言ってしまったのを彼も「うん、いいね」と首肯いてくれた。大瀧氏はテープの中で、「それでは最後に、この4人でしかできない曲をやります」と言っていたのだった。ぼくも茂もあの時は全く気付かなかったけど、そのテープではじめて聞いたのである。』

『あの晩はとても素敵だったと思う。ぼくらはすごく楽しく演れたし、それぞれが自らの青春らしきものに終止符を打つような淋しさを感じていたにちがいない。〈はっぴいえんど〉さようなら!』

1. はいからはくち
2. 夏なんです
3. 氷雨月のスケッチ
4. 抱きしめたい
5. 空とぶ・ウララカ・サイダー
6. ココナツ・ホリデー
7. 街行き村行き
8. 春一番
9. 12月の雨の日
10. かくれんぼ
11. 春よ来い

細野晴臣 / 大瀧詠一 / 松本隆 / 鈴木茂
Tracks 5 & 6 - 大瀧詠一とココナツ・バンク
Tracks 7 & 8 - 西岡恭三

録音 1973年9月21日 / 解散コンサート@文京公会堂

はっぴいえんど / 風街ろまん

このアルバムについて、いまさら何も書くことはない。1971年11月20日発売と同時に購入。いや、前もって中野のレコード店に予約を入れていたかも知れない。もう50年近く前のことなので忘れてしまった。CDは2種類所有。久しぶりにLPを取り出し、見開きジャケット内側を記念撮影。内側に書かれた松本隆の詩「風狂い」はこう始まる。

水無月の風
電車通り吹き抜けると
鬼瓦の屋根のあたりで美しい渦描く
通りにあふれる人波熱い息を吐き散らし
風のやさしい刃その頬削ぐのに忙しく
だが夢に魘された路面電車通りすぎれば
原色の街毒々しい色あい失いつつ褪めてゆき
いまはもうすっかり風色
...
...

1. 抱きしめたい
2. 空いろのくれよん
3. 風をあつめて
4. 暗闇坂むささび変化
5. はいからはくち
6. はいから・びゅーちふる
7. 夏なんです
8. 花いちもんめ
9. あしたてんきになあれ
10. 颱風
11. 春らんまん
12. 愛餓を

録音 1971年5月11日 - 9月12日