The Great Jazz Trio / The Great Tokyo Meeting

LPのライナーノーツは、スイングジャーナルの当時の編集長だった児山紀芳氏。ザ・グレイト・ジャズ・トリオ結成の経緯などで紙面をほとんど埋め尽くしている。このアルバムの内容に関してはまったく書いていない。一方、CDのライナーノーツは原田和典氏。こちらも、全7曲は各メンバーの作であると書いている程度。

つまり、ハンク、ロン、トニーによる6枚目のアルバムでは、何ら新しい物を発見できなかった、と彼らは暗に言っている。このトリオでやることは、もうなくなってしまったのだ。東京でのスタジオ録音は、お疲れ様でしたの意味合いが濃い。1980年からメンバーを替えて活動は進めたが、この3人による最後のアルバム。自分自身が大学のジャズ研に所属していた時期と重なっているので、リアルタイムで聴いてきたピアノトリオ。このアルバムの録音から5年後、1983年のキース・ジャレットによるスタンダーズ・トリオの出現を待つことになった。

1. Pink Lady
2. Mellow Blues
3. Out Of Round
4. G.J.T.
5. Interface
6. Forever
7. To Destiny

Hank Jones - piano
Ron Carter - bass
Tony Williams - drums

Recorded on July 31, 1978 at Onkyo House, Tokyo.

The Great Jazz Trio / Milestones

The Great Jazz Trioのブルースカイ3部作(自分が勝手に命名)の3作目。ジャケットは澄み切った青空ながら、このトリオの勢いに少し陰りが見えてきたアルバムである。理由はイースト・ウィンド側がセールスに走り過ぎて、短期間に次々とアルバムをリリースしたため。やがて、演奏する側はやらされ仕事のようになってきた。ジャズマンをサラリーマンと勘違いした日本のイースト・ウィンド・レーベル。

スタジオに入れば最高のパフォーマンスを演じるハンク、ロン、トニー。しかしながら、明らかに準備不足。例えば一曲目のMilestonesは非常にシンプルな構成の曲で、様々な料理方法が考えられる。しかも、ロンとトニーはマイルスと何度も演奏してきた曲でもある。だからこそ、The Great Jazz Trioらしいアレンジを提案できたはず。だが、そんな余裕は与えられなかったのだろう。

1. Milestones
2. Lush Life
3. Wave
4. Eighty-One
5. I Remember Clifford
6. Hormone
7. Mr. Biko

Hank Jones - piano
Ron Carter - bass
Tony Williams - drums

Recorded on April 5, 1978 at Sound Ideas Studios, NYC.

The Great Jazz Trio / Direct From LA

The Great Jazz Trioのブルースカイ3部作(自分が勝手に命名)の2作目。1作目(録音1977年10月3 & 4日)のKJLHは7曲40分。本作(録音10月6日)は4曲29分である。どちらもロサンゼルスでの録音。2つのアルバムにバランスよく曲を配置すべきだったと思うが、どうにもならない訳があった。10月6日はダイレクト・カッティングだった。つまり、LPのA面でA Night In Tunisia - 'Round Midnight、B面でSatin Doll - My Funny Valentineを一発録りした訳である。

それを知って聴くと、トニーのドラムが今一つ迫力に欠ける感じがする。太鼓やシンバルを叩き過ぎてレベルオーバーとなってしまったら演奏、すなわちカッティングのやり直し。ピアノとベースでは、そんな心配は不要。一番緊張したのはトニーではないだろうか。ダイレクト・カッティングって、プロデューサー側の自己満足のような気がするのだが。

1. A Night In Tunisia
2. 'Round Midnight
3. Satin Doll
4. My Funny Valentine

Hank Jones - piano
Ron Carter - bass
Tony Williams - drums

Recorded on October 6, 1977 at Warner Brothers Recording Studios, Los Angeles, CA.