The Great Jazz Trio / Direct From LA

The Great Jazz Trioのブルースカイ3部作(自分が勝手に命名)の2作目。1作目(録音1977年10月3 & 4日)のKJLHは7曲40分。本作(録音10月6日)は4曲29分である。どちらもロサンゼルスでの録音。2つのアルバムにバランスよく曲を配置すべきだったと思うが、どうにもならない訳があった。10月6日はダイレクト・カッティングだった。つまり、LPのA面でA Night In Tunisia - 'Round Midnight、B面でSatin Doll - My Funny Valentineを一発録りした訳である。

それを知って聴くと、トニーのドラムが今一つ迫力に欠ける感じがする。太鼓やシンバルを叩き過ぎてレベルオーバーとなってしまったら演奏、すなわちカッティングのやり直し。ピアノとベースでは、そんな心配は不要。一番緊張したのはトニーではないだろうか。ダイレクト・カッティングって、プロデューサー側の自己満足のような気がするのだが。

1. A Night In Tunisia
2. 'Round Midnight
3. Satin Doll
4. My Funny Valentine

Hank Jones - piano
Ron Carter - bass
Tony Williams - drums

Recorded on October 6, 1977 at Warner Brothers Recording Studios, Los Angeles, CA.

The Great Jazz Trio / KJLH

The Great Jazz Trioのブルースカイ3部作。自分で勝手にそう呼んでいる。ロサンゼルスでの1977年10月の3日間、LPで2枚分の11曲を録音。翌78年4月、ニューヨークで7曲録音。アルバムKJLH、Direct From LA、Milestonesが立て続けにリリースされた。いずれも青空をバックにした写真のジャケット。

このアルバムは、一曲目のFreedom Jazz Danceが聴きどころ。トニーが、この曲というよりか、アルバム全体の幕開けをドラムで打ち鳴らす。ロンのベースがブーンと鳴って、ハンクが鍵盤を叩き始める。4ビートジャズに体が揺さぶられる瞬間。この録音から約10年前、アルバムMiles SmilesでロンとトニーはFreedom Jazz Danceを演奏している。この時のピアノはハンコックで、自分のソロが回って来ても、何となく手癖で鍵盤をなぞっている感じ。やはり、ピアニストは自分が主役にならないと、手を抜いてしまうのだ。ちなみに、KJLHとは、Kindness, Joy, Love & Happinessを略したFMラジオ局。

1. Freedom Jazz Dance
2. Doom
3. Old Folks
4. Ah, Oui
5. Mr. P.C.
6. All Blues
7. A Child Is Born

Hank Jones - piano
Ron Carter - bass
Tony Williams - drums

Recorded on October 3 & 4, 1977 at Warner Brothers Recording Studios, Los Angeles, CA.

The Great Jazz Trio / At The Village Vanguard Again

1977年2月のビレッジ・バンガードでのライブ演奏は、Vol.1とVol.2が同年5月頃に発売された。スイングジャーナルの広告かレビューを読んで、迷わず2枚のLPを発売直後に購入したことを覚えている。それから23年経った2000年、突然の如く未発表テイクがCDで発売。なぜに23年間眠らせていたのか。CDの帯から。【歴史的名作『アット・ザ・ビレッジ・バンガード』から23年を経て発表された未発表作品。3人が変幻自在にメロディーやリズムを発展させていく「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」が圧巻。他にも「朝日のようにさわやかに」などの名曲が並ぶ】。

Vol.1の4曲(Moose The Mooche, Naima, Favors, 12+12)、Vol.2の4曲(Confirmation, Wind Flower, Nardis, Lawra)と比べると、Againの5曲は明らかに迫力に欠ける。Vol.1のライナーノーツはDan Morgenstern(ダン・モーガンスターン)が担当。改めて読み直すと、「マイ・ファニー・ヴァレンタインではこのトリオが自由自在にテンポやリズムを変えてゆき、変幻自在に演奏を発展させるのが実にスリルに富んでいた。マイルス・デイビスがでさえ唸っただろうと思われるほどにフレッシュな解釈だった」と書いてある。にもかかわらず、Againを眠らせていたのは、スリルよりも迫力をコンセプトにしたからなのだろう。

1. High Fly
2. Sophisticated Lady
3. Softly, As In A Morning Sunrise
4. Wave
5. My Funny Valentine

Hank Jones - piano
Ron Carter - bass
Tony Williams - drums

Recorded on February 19 & 20, 1977 at The Village Vanguard, NYC.