Eric Dolphy / Memorial Album

エリック・ドルフィーの生き方。何一つの妥協もしなかったのだろう。3曲目のAlone Togetherはドルフィーとリチャード・デイビスとのデュオ。そして、4曲目のLove Meはドルフィーのソロ。この2曲を聴くと、そう感じざるを得ない。1981年2月11日付けの悠雅彦氏によるライナーノーツでは、ドルフィー自身の言葉(植草甚一氏訳)を次のように引用している。

馬が嘶くような音をたてる。すると、何という音を出すんだといって怒りだす。けれど、ぼくが求めているものが、こうした音の中にあるんだから仕方がない。感じたことや気持ちの中にあること以外に何が表現できるだろう。だから、その表現が理解されるように演奏能力を発揮していかなければならなくなる。こうした気持ちがわかってくれる聴き手が一人でも多くなること。それがぼくに元気をださせてくれるんだ。

※ 全4曲は、所有するCDアルバムMusical Prophetに含まれている。

1. Jitterbug Waltz
2. Music Matador
3. Alone Together
4. Love Me

Track 1
Eric Dolphy - flute
Woody Shaw - trumpet
Bobby Hutcherson - vibraphone
Eddie Khan - bass
J.C. Moses - drums
Recorded on July 3, 1963 in NYC.

Track 2
Eric Dolphy - bass clarinet
Clifford Jordan - soprano saxophone
Sonny Simmons - alto saxophone
Prince Lasha - flute
Bobby Hutcherson - vibraphone
Richard Davis - bass
Charles Moffett - drums
Recorded on July 3, 1963 in NYC.

Track 3
Eric Dolphy - bass clarinet
Richard Davis - bass
Recorded on July 1, 1963 in NYC.

Track 4
Eric Dolphy - alto saxophone
Recorded on July 3, 1963 in NYC.

Eric Dolphy / Illinois Concert

国内盤CDのライナーノーツには、ロン・カーターによる1999年7月付けの解説を掲載している。エリック・ドルフィーと何度も共演してきただけに非常に鋭い指摘である。

「これまで発展しつづけてきたエリックのハーモニック・スタイルは、このうえないほどの冒険心を感じさせる。〈朝日のようにさわやかに〉は、その最たる例だろう。コード・チェンジの束縛を逃れたエリックのプレイは、円熟味にあふれ、曲に新たな力強さを加えている。それでいながら、われわれがなれ親しんでいるこの曲のオリジナル・コード進行のイメージをこわしていない。ハービー・ハンコックもエリックにピタリとついていく一方で、適格なタイミングでそれぞれのコード音を打ち出している」。

所有する全アルバムから〈朝日のようにさわやかに〉を抽出した。トラック数は37もあって、ジャズプレイヤーに好まれている証拠。自分も学生の頃によく演奏した。その中で、20分を超える演奏(20分18秒)は、このアルバムだけ。次が森山威男のアルバムFlush Upに収録された14分59秒。こちらは、新宿ピットインでのライブ演奏。長ければ良いという話ではなく、観客の前でイマジネーションを際限なく膨らませていったことに価値があるのだ。

1. Softly, As In A Morning Sunrise
2. Something Sweet, Something Tender
3. God Bless The Child
4. South Street Exit
5. Iron Man
6. Red Planet
7. G.W.

Eric Dolphy - flute, bass clarinet, alto saxophone
Eddie Khan - bass (except track 3)
Herbie Hancock - piano (except track 3)
J.C. Moses - drums (except track 3)
The University Of Illinois Brass Ensemble (track 6)
The University Of Illinois Big Band (track 7)

Recorded on March 10, 1963 at University Of Illinois, Champaign, IL.

Eric Dolphy / Stockholm Sessions

ドルフィーは、「私はしばらくヨーロッパに住もうと思っています。なぜって、ヨーロッパなら私がやりたい音楽を推し進められるだろうと思っているからです。このアメリカでは、人が何かちょっと新しく変わったことをやろうとすると、寄ってたかってそれを押しつぶそうとするからなのです」と語っている。

本作の1回目セッションは1961年9月25日。2回目は同年11月19日。場所は同じストックホルムの放送スタジオ。ドルフィーのディスコグラフィーから新たな発見があった。1回目セッションの後、11月1日にはコルトレーングループに合流して、ビレッジ・バンガードに出演。そして同月18日にはコルトレーンと共にパリ公演。翌19日はオランダ公演を行い、そのままストックホルムに入って2回目セッション。ドルフィーは拠点をヨーロッパに置きたかったのだろうが、コルトレーンのオファーにも応える必要があった。このアルバムを聴くと「解放」と「閉塞」の狭間にいたドルフィーを感じてしまうのだ。

1. Loss
2. Sorino
3. Ann
4. God Bless The Child
5. Alone
6. Geewee
7. Don't Blame Me
8. Sorino [alternate take]

Tracks 1, 2, 7 & 8
Eric Dolphy - alto saxophone, bass clarinet, flute
Knud Jorgensen - piano
Jimmy Woode - bass
Sture Kallin - drums
Recorded on September 25, 1961 at Swedish Broadcast Station, Stockholm, Sweden.

Tracks 3, 4, 5 & 6
Eric Dolphy - alto saxophone, bass clarinet, flute, bass clarinet
Idrees Sulieman - trumpet
Rune Ofwerman - piano
Jimmy Woode - bass
Sture Kallin - drums
Recorded on November 19, 1961 at Swedish Broadcast Station, Stockholm, Sweden.