Dollar Brand / African Piano

1973年のスイングジャーナル銀賞受賞。この時の金賞は、マッコイ・タイナーのEchoes Of A Friend。両極を示すピアノソロ・アルバムであった。マッコイはコルトレーンを、ダラー・ブランドはアフリカを演奏の題材とした。その頃のスイングジャーナルは、ある大学のジャズ研に譲ってしまったので、金賞と銀賞の差異は分からない。しかし今、コルトレーンというシンボルを廃して聴けば、African Pianoのほうが価値は上回っている気がする。

コペンハーゲンのカフェ・モンマルトルでのライブ演奏。8曲構成となっているが、実質的には約40分の1曲勝負。曲想は変化していくものの全編ブルースである。African Pianoではなく、All African Blues Pianoとでもして欲しかった。ブランドはイスラム教への改宗をきっかけに、Abdullah Ibrahim(アブドゥーラ・イブラヒム)へと名前を変えた。LPのジャケットは右縦にdollar brandとあったが、CDはabdullah ibrahimと変えている。リリースした当時の名前のままにすべきだと思うのだが。

1. Bra Joe From Kilimanjaro
2. The Eternal Spirit Is The Only Reality
3. The Moon
4. Xaba
5. Sunset In Blue
6. Kippi
7. Jabulani (Easter Joy)
8. Tintiyana

Dollar Brand - piano

Recorded on October 22, 1969 at Jazz-hus Montmartre, Copenhagen.

Dollar Brand / Anatomy Of A South African Village

事件だ。CDは売れなくなり、ジャズのポテンシャルは下がったままの今の時代。1980年代中頃、日本フォノグラムから「フォンタナ・ニュー・ジャズ・シリーズ」がリリースされ、LPを買い漁ったことを今でも憶えている。理由は、フリー系ジャズにかなり傾倒していた頃で、しかも従来にない斬新なジャケットに吸い込まれていったからだ。ジャケットは、女性アーティストのMarte Röling(マルテ・レーリンク)によるもの。

そんなアルバムが、長い年月を超え最近復刻された。快挙と言いたい。ジャズ喫茶時代のオヤジが、コロナ禍で外で飲む機会を奪われ、「家聴き難民」となってしまった。そんな世代をターゲットにしたのだろうか。このアルバムは、ダラー・ブランドの初期代表作。ボーナストラック4曲を追加し、オリジナルジャケットで初のCD化を果たした。やはり、事件なのである。

1. Anatomy Of A South African Village
2. Tintiyana
3. 'Round Midnight
4. Honey
5. Light Blue
6. The Dream
7. Mamma
8. Boulevard East / Sunset In Blue / Easter Joy / Boulevard East
9. Smoke Gets In Your Eyes

Dollar Bland - piano
Johnny Gertze - bass (except tracks 5,9)
Makaya Ntshoko - drums (except tracks 5,9)

Recorded on January 30, 1965 at Jazz-hus Montmartre, Copenhagen, Denmark.