Clifford Brown / Jam Session

公開スタジオ・ジャムセッションの記録。10人のミュージシャンと観客をスタジオに集めた。トランペッターが3人、ピアノが2人ということで、LPのライナーノーツでは、油井正一氏と児山紀芳氏がソロイストの判別に多くの紙面を割いている。CDでは、同じように上條直之氏(この人は全く知らない)もソロ・パートのことを書いている。ジャズ評論家とは、ソロイストを見極めないと、仕事をしていないと思うのだろうか。それより、この公開スタジオセッションがどのような経緯(いきさつ)で開かれたかを知りたい。

勝手な想像だが、スタジオ録音ということで、観客は酒が入っていないはず。それでも、やんやの喝采で酔いしれている。酒がなくても酔えるジャズ。酒があるともっと酔えるジャズ。ソロ・パートを探るより、このアルバムの本質はそこにあるのだ。

1. What Is This Thing Called Love?
2. Darn That Dream
3. Move
4. My Funny Valentine
- Don't Worry 'bout Me
- Bess, You Is My Woman Now
- It Might As Well Be Spring

Clifford Brown - trumpet
Maynard Ferguson - trumpet
Clark Terry - trumpet
Harold Land - tenor saxophone
Herb Geller - alto saxophone (tracks 1,3,4)
Richie Powell - piano
Junior Mance - piano (tracks 1,3,4)
Keter Betts, George Morrow - bass
Max Roach - drums
Dinah Washington - vocals (track 2)

Recorded on August 14, 1954 at Capitol Studios, Los Angeles, CA.

Clifford Brown / Best Coast Jazz

アルバムAll Starsと同日、同メンバーによる録音。ブラウン名義のアルバムであることは確かなのだが、明らかにジャムセッション。内容が雑だという意味ではない。リーダー不在ということ。いや、全員がリーダーだと言ってもいい。それが、アルバムタイトルAll StarsとBest Coast Jazzに表れている。よって、ブラウンのペットを心底味わえるアルバムではない。1950年代半ばの息吹を感じ取るアルバム。

CDでは、Coronadoのリハーサルが追加された。ブラウンのディスコグラフィーを調べると、54年8月11日のセッションで、この曲がリハーサルを含めて3回録音されている。アルバムJams 2では、18分8秒、このBest Coast Jazzでは19分58秒。リハーサルは5分44秒である。Jams 2に収録されたCoronadoでは満足できず、テイクを重ねたことが分かる。You Go To My Headは、このセッションから3日後の8月14日にダイナ・ワシントンを迎え録音。ワシントン名義のアルバムDinah Jamsに収録された。その一年程前の53年6月9日に録音したブラウン名義のアルバムMemorial Albumでも聴くことができる。

1. Coronado
2. You Go To My Head
3. Coronado [rehearsal]

Clifford Brown - trumpet
Walter Benton - tenor saxophone
Herb Geller - alto saxophone
Joe Maini - alto saxophone
Kenny Drew - piano
Curtis Counce - bass
Max Roach - drums

Recorded on August 11, 1954 at Capitol Studios, Los Angeles, CA.

Clifford Brown / All Stars

1954年8月前半の数日間、ロサンゼルスでクリフォード・ブラウンとマックス・ローチを中心とするセッションが行われ、数枚のアルバムに分散してリリースされた。その中の1枚が本アルバム。タイトルはAll Starsであったり、収録曲からCaravanだったりする。つまり、ジャケットにはCLIFFORD BROWN / ALL STARTSとだけあり、タイトルは不明確。マーキュリー・レーベルは重要なアルバムを世に送り出しているが、ジャケットに関しては、かなりいい加減。

収録曲は、キャラバン(15分22秒)とニューヨークの秋(21分49秒)の2曲のみ。曲の長さからアルバム制作を前提としたセッションではなかったと思う。4管のフロントであり、アドリブを回していけば、必然的に時間は長くなる。しかしながら、2年後の56年6月26日に交通事故で亡くなってしまったブラウンを考えれば、貴重な録音である。ちなみに、CD化で追加された1曲は、キャラバンの別テイクからブラウンのソロだけを抜き出したもの(3分9秒)。

1. Caravan
2. Autumn In New York
3. Caravan (The Boss Man)

Clifford Brown - trumpet
Walter Benton - tenor saxophone
Herb Geller - alto saxophone
Joe Maini - alto saxophone
Kenny Drew - piano
Curtis Counce - bass
Max Roach - drums

Recorded on August 11, 1954 at Capitol Studios, Los Angeles, CA.