Benny Golson / Benny Golson And The Philadelphians

ベニー・ゴルソン。彼のサックスには、息遣いを感じる。「音」で聴かせるのではなく、「息」で聴かせるサックス奏者。アート・ブレイキーとジャズ・メッセンジャーズのアルバムMoanin'の録音から2週間後の1958年11月17日。ゴルソンはブレイキー抜きでセッションに臨んだ。さらに、その1か月後の12月12日にパリでセッション。タイトルとジャケットから、11月のセッションをアルバムにしたもので、パリの録音はボーナストラックの位置付け。

だが、どちらかというとボーナスのほうが重要。ボビー・ティモンズを引き連れて、Blues MarchやMoanin'を録音している。ライナーノーツの雑木林進氏(すごいペンネーム!)によると、ゴルソン本人がメッセンジャーズを脱退した理由を「ブレイキーの強烈なドラムに負けじと吹いていると、自分本来のソフトでスムースな持ち味を見失ってしまいそうになったから」と語ったらしい。つまり、ここにいるゴルソンは、自分の持ち味を出すことに懸命になったアルバムなのだ。

1. You're Not The Kind
2. Blues On My Mind
3. Stablemates
4. Thursday's Theme
5. Afternoon In Paris
6. Calgary
7. Blues March
8. I Remember Clifford
9. Moanin'
10. Stablemates [2nd Version]

Tracks 1 - 6
Benny Golson - tenor saxophone
Lee Morgan - trumpet
Ray Bryant - piano
Percy Heath - bass
Philly Joe Jones - drums
Recorded on November 17, 1958 at Nola's Penthouse Sound Studios, NYC.

Tracks 7 - 10
Benny Golson - tenor saxophone
Roger Guerin - trumpet
Bobby Timmons - piano
Pierre Michelot - bass
Christian Garros - drums
Recorded on December 12, 1958 in Paris.

Barry Harris / Live At Dug Complete Edition

2014年7月5日、町田Nica'sに元岡一英、小杉敏、渡辺文男のピアノトリオを聴きに行ったとき、DUGの元オーナー・中平穂積氏が聴きに来ていた。渡辺文男さんから、このアルバムのチラシを受け取り、Amazonで翌日注文。以来、ピアノトリオの愛聴盤となった。ジャズが方向性を見失っていた90年代後半、日本のジャズ喫茶でのライブ録音。肩の力を抜いた本来の「聴いて酔える」ジャズがここにある。

ライナーノーツは寺島靖国氏。彼とは、ジャズに対する意見が本質的には合わない。昔、吉祥寺のメグも一度だけ行ってやめにした。だが、このライナーノーツで、意見を共にする部分を発見。「バド・パウエルなら〈クレオパトラの夢〉、レイ・ブライアントは〈ゴールデン・イアリング〉、デューク・ジョーダンは〈危険な関係〉というようにその人の代表曲というか、ある部分、ミュージシャンより曲が有名になった例は多々ありますが、さてバリー・ハリスはなんでしょう。私は〈ナシメント〉だと思います」。まったくその通りで、アルバムの副題は〈ナシメント〉にして欲しかった。もしかすると、すでに他のアルバムで使っているかと思い、ハリスのディスコグラフィーを確認したが、未使用であることが判明。

Disc 1
1. Like Someone In Love
2. No Name Blues
3. A Time For Love
4. Oblivion
5. My Heart Stood Still
6. Cherokee
7. Nascimento

Disc 2
1. Ornithology - Luminescence
2. I'll Keep Loving You
3. On Green Dolphin Street
4. It Could Happen To You
5. Rhythm-A-Ning
6. Somebody Loves Me
7. Tea For Two
8. Nascimento
9. Encore. East Of The Sun

Barry Harris - piano
Kunimitsu Inaba / 稲葉国光 - bass
Fumio Watanabe / 渡辺文男 - drums

Recorded on May 29, 1995 at Dug, Tokyo.

Barry Harris / At The Jazz Workshop

バリー・ハリスの最初のライブアルバム。CDでは別テイクが3曲追加されている。ハリスのディスコグラフィーによると、当然ながらLPに別テイクはなく、3曲ともtake 2を採用。CDではtake2, take 1という順で収録。この構成は勘弁して欲しい。別テイク3曲を最後に持ってくるか、2日間のライブ演奏だったので演奏順にすべきである。

LPで採用になった演奏に続いて、内容は決して悪くないもののボツとなった演奏を入れるのはナンセンスである。そもそも、ハリス、サム・ジョーンズ、ルイス・ヘイズの3人に失礼。寛いだ雰囲気で、観客も十分に楽しんでいるライブ演奏なのに。

1. Is You Is Or Is You Ain't My Baby [take 2]
2. Is You Is Or Is You Ain't My Baby [take 1]
3. Curtain Call
4. Star Eyes
5. Moose The Mooche
6. Lolita
7. Morning Coffee
8. Don't Blame Me [take 2]
9. Don't Blame Me [take 1]
10. Woody'n You [take 2]
11. Woody'n You [take 1]

Barry Harris - piano
Sam Jones - bass
Louis Hayes - drums

Recorded on May 15 & 16, 1960 at The Jazz Workshop, San Francisco, CA.