Booker Ervin / The Song Book

タイトル通りスタンダード集。ブッカー・アーヴィンのワンホーンで、十分に彼のサックスを楽しめるのだが、Alan Dawson(アラン・ドーソン)のドラミングが実に光っている。しかし、本作以外の所有アルバムの中でドーソンが参加しているのは、アーヴィンのHeavy!!!、クリフォード・ブラウンのThe Complete Paris Sessions Vol.1、ソニー・スティットのTune Up!だけと、意外に少なかった。ところで、オリジナルのライナーノーツでは、1964年5月付けでDan Morgenstern(ダン・モルゲンシュテルン)が、アーヴィンとミンガスの関係を以下のように書いている。

"There's nothing on earth I like better than playing music," Booker Ervin once told me. His playing sounds like that. It is full of fire and conviction: nothing about it strikes the ear as forced, contrived or meretricious. It is no wonder that Charlie Mingus - a man who likes his music naked - has used Booker whenever he could get him.

「音楽を演奏することほど好きなものはこの世にない」とアーヴィンはかつて私に言った。彼の演奏は、情熱と信念に満ち溢れているのだ。こじつけ、わざとらしさ、見せかけだけのものは一切ない。むきだしの彼の演奏を好むミンガスが、機会があれば、いつでも彼を使ったのも不思議でない。

1. The Lamp Is Low
2. Come Sunday
3. All The Things You Are
4. Just Friends
5. Yesterdays
6. Our Love Is Here To Stay

Booker Ervin - tenor saxophone
Tommy Flanagan - piano
Richard Davis - bass
Alan Dawson - drums

Recorded on February 27, 1964 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Booker Ervin / Heavy!!!

2016年9月6日、外出先で午前中の仕事を終え、四谷のジャズ喫茶『いーぐる』でランチを食べた時に出会い、その日にAmazonで注文したアルバム。ジャズの本質とエネルギーがぎゅうぎゅうに詰まっている。それは、フロント3管の厚みによるところもあるが、むしろジャッキー・バイアードのピアノが適度な緊張感を醸し出しているのが大きな要因だ。タイトルをHeavyとし、ビックリマークを3つ付けたのに偽りはない。ライナーノーツで、久保田高司氏がブッカー・アーヴィンについて以下のように書いている。非常に参考になる。

「男性的でタフ。そして豪快なブッカーのプレイがテキサス・テナーの伝統を踏まえたものであることは事実だ。〈中略〉ブッカーのプレイには泥臭さがない。テキサス・テナーの伝統を知的あるいは洗練というフィルターで濾したとでも言えば、わかりやすいだろうか?とにかくブッカーのプレイはテキサス・テナーより出て、それを上回るスケールを誇っているのである」。

1. Bächafillen
2. You Don't Know What Love Is
3. Aluminum Baby
4. Not Quite That
5. Bei Mir Bist Du Schoen
6. Ode To Charlie Parker

Booker Ervin - tenor saxophone
Jimmy Owens - trumpet (tracks 3-6), flugelhorn (track 1)
Garnett Brown - trombone (tracks 1,3-6)
Jaki Byard - piano
Richard Davis - bass
Alan Dawson - drums

Recorded on September 9, 1966 at Impact Studios, NYC.

Booker Ervin / The Book Cooks

1曲目のBooker Ervin(ブッカー・アーヴィン)作The Blue Bookから見事な気だるさ。フロント3管、ピアノ、ベース、ドラム。どれもが気だるい。本作のプロデューサーはヴァイブ奏者でもあるTeddy Charles(テディ・チャールズ)。タイトル曲The Book Cooksはチャールズの作品。つまり、プロデューサーが自分の作品を提供し、それを強引にタイトルにしたということだ。

そういう訳で、3つのBookをとりまとめて、ジャケットには大きく"THE BOOK"と記載。これはタイトルではなく、表紙のようなもの。5曲目まで何となく気だるい雰囲気は続き、ラストのスタンダード曲Poor Butterflyで、ようやく解放される。だが、4分足らずで終わってしまい、悪い夢から醒めたような感じ。

1. The Blue Book
2. Git It
3. Little Jane
4. The Book Cooks
5. Largo
6. Poor Butterfly

Booker Ervin - tenor saxophone
Zoot Sims - tenor saxophone
Tommy Turrentine - trumpet
Tommy Flanagan - piano
George Tucker - bass
Dannie Richmond - drums

Recorded on April 6, 1960.