Bill Evans / What's New

このアルバムに参加したフルートのジェレミー・スタイグについてエバンス自身がLPのライナーノーツで語っている(1969年3月23日付け)。「ジェレミーの才能を表現しようと試みることはきわめて難しいのです。わずかでも彼を聴くとおわかりでしょうが、彼がフルートの表現能力において注目すべき改革をなしたというだけでなく彼の音楽上の技巧などがあげられると思います。この敵陣突破のようなことは、これまで彼の楽器の技術的そして感情的なスペクトラムの部分を理解されなかった何ものかを表現するべく、プレイヤーのとがめの結果として起こったものです」。

翻訳に問題があると思うが、何を伝えたいのかよく分からない。確かにジェレミーのフルートは技法的に革新ではあるものの、ジャズに改革を及ぼすだけの影響力があったかと言うと、ちょっと疑問。ちなみに、ジェレミーは2010年に日本に移住し、2016年4月13日に横浜で死去している。以下は、アサコ夫人が運用していると思われるウェブサイト。

http://www.jeremysteig.info/index.html

1. Straight, No Chaser
2. Lover Man
3. What's New
4. Autumn Leaves
5. Time Out For Chris
6. Spartacus Love Theme
7. So What

Bill Evans - piano
Jeremy Steig - flute
Eddie Gomez - bass
Marty Morell - drums

Recorded on January 30, February 3 & 5 and March 11, 1969 in NYC.

Bill Evans / Alone

少なくとも日本において、ビル・エバンスは固定的なレッテルを張られてしまったようだ。あちこちで「エバンスのリリシズム」なる表現を見受けることが多い。いつ誰が、この「リリシズム」という言葉をエバンスに使ったのかは分からないが、極めて安易な表現としか言いようがない。

Aloneというタイトル、それを示すようなジャケット。演奏内容も超一流。だけど、次に何を生み出すのか、まったく期待できない。古びたスコアを使って鍵盤をなぞっているだけ。心地よい。だけど、不安も期待もない。しかも、3日間の録音でアルバムを仕上げていることに、単なる一人芝居の余興としか思えないのだ。

1. Here's That Rainy Day
2. A Time For Love
3. Midnight Mood
4. On A Clear Day (You Can See Forever)
5. Never Let Me Go
6. The Two Lonely People (aka The Man And The Woman)
7. Here's That Rainy Day
8. A Time For Love
9. Midnight Mood
10. On A Clear Day (You Can See Forever) [alternate take]
11. Never Let Me Go [alternate take]
12. Medley: All The Things You Are / Midnight Mood

Bill Evans - piano

Recorded on September 23 and October 8 & 21, 1968 at Webster Hall, NYC.

Bill Evans / Some Other Time

1968年6月15日のモントルー・ジャズ・フェスティバルの5日後、ドイツMPSスタジオで録音されたもの。この音源は1980年にエバンスが亡くなった時に発掘されたが、レーベルの事情などで発売が見送られたようである。それから35年以上経って、ようやく世に出たアルバム。

アルバムAt The Montreux Jazz Festivalでは、ベースのエディ・ゴメスとドラムのジャック・ディジョネットは少しはしゃぎ過ぎだった。だが、このスタジオ録音ではそんな感じは一切受けない。ライブをやりとげ、多少なりとも自信が付き、落ち着いて演奏に専念できたのだろう。それ以上に驚きなのは、2枚組21曲を一日で仕上げたことである。

Disc 1
1. You Go To My Head
2. Very Early
3. What Kind Of Fool Am I?
4. I'll Remember April
5. My Funny Valentine
6. Baubles, Bangles & Beads
7. Turn Out The Stars
8. It Could Happen To You
9. In A Sentimental Mood
10. These Foolish Things
11. Some Other Time

Disc 2
1. You're Gonna Hear From Me
2. Walkin' Up
3. Baubles, Bangles & Beads
4. It's Alright With Me
5. What Kind Of Fool Am I?
6. How About You
7. On Green Dolphin Street
8. Wonder Why
9. Lover Man (Oh, Where Can You Be?)
10. You're Gonna Hear From Me [alternate take]

Bill Evans - piano
Eddie Gomez - bass
Jack DeJohnette - drums

Recorded on June 20, 1968 at MPS Studios, Villingen, Germany.