後藤雅洋 / ジャズの名演・名盤

講談社現代新書1990年11月20日発行(定価650円)。数年前に古本で手に入れ、何度も読み直してきた。著者である四谷ジャズ喫茶『いーぐる』の店主・後藤雅洋氏のジャズに対する感性は、自分にとっては素直に受け入れられる。なので、後藤氏が紹介するアルバムは、結果を恐れず?に購入してきた。まぁ、8割近くが自分にとって正解。これは、もの凄い高打率なのだ。

表紙には、こんなことが書かれている。「ジャズを聴き、ジャズに惚れればあとは一直線。練り上げられた豊かな音の深みにはまりこむ。入門から中毒へ、お勧めの名演・名盤を紹介」。楽器別、プレイヤー別の構成になっていて、非常に読みやすく勉強になる。しかし、入門者には少しハードルが高く、それこそ中毒症状が出始めた人向けだろう。本書の姉妹編とも言える『一生モノのジャズ名盤500』(小学館eBooks 2013年6月21日 電子書籍発行)は、むしろ初心者が対象。自分は、アルバムのデータ検索に有益と思いKindleに入れている。

木俣信 / ジャズは気楽な旋律

2014年4月15日発刊 平凡社新書 定価800円。木俣信(きまた まこと)という名前は、スイングジャーナルなどで何度も目にすることがあった。しかし、ジャズ・プロデューサーの立場として、アルバムのレビューを書くことは難しかったようだ。そんな木俣氏が本を執筆したことを知り、読んでみようと思った。サブタイトル『プロデューサーが出会った素顔の巨人たち』にも魅かれた。だが残念なことに、この本は木俣氏の仕事経歴を綴ったに過ぎない。以下は、『まえがき』より抜粋。

「永年ジャズに携わり、世界の数多くのミュージシャンたちとレコーディングという仕事を通して付き合ってきたぼくは、〈ジャズは難解〉という誤解を解きほぐし、〈ジャズってこんなに楽しい音楽なのか〉〈素晴らしい感動を与えてくれるのだ〉ということを、一人でも多くの人にわかっていただければ ― そんな思いでペンをとった」。つまり、超入門者向けの本なのである。

植草甚一 / マイルスとコルトレーンの日々

1977年2月15日初版・晶文社。ジャズ初心者向けの本ではない。マイルスとコルトレーンをかなり聴き込んでいないと、理解がかなり難しいだろう。例えば、こんなエピソードを取り上げている。

『コルトレーンのプロデューサーであったボブ・シールが、エルビンに対して「よくみんながコルトレーンはむずかしいというけれど、ぼくにはよく理解できるんだが」と言うと、エルビンは「それは、よく聴き込んだからだよ。いいかえると、きみはジョン・コルトレーン四重奏団の五番目のメンバーになったんだ」と答えた』。この文章を読んで、中級者ならばニヤリとするだろう。あとがきとして、本書の解説を清水俊彦氏が書いていて、以下はその抜粋。

「この本には、アメリカばかりでなく、イギリスやフランスのジャズ誌にものったエッセやレコード評やインタヴュー記事からのおびただしい引用がある。それだけではない。ジャズ以外のさまざまな分野の本や雑誌からの引用もふんだんにあり、そのうえ、植草さん自身の洞察力にとんだ批評はいうまでもなく、日常生活の断片までがしばしば現れてくる」。つまり、研究レポートなのだ。