Hal McKusick / East Coast Jazz Series No.8

まだまだ知らないジャズマンがたくさんいる。ハル・マキュージック(マクシックとも発音)。後藤雅洋氏の著書『一生モノのジャズ名盤500』を読まなければ、ハルには出会わなかっただろう。アルバムタイトル通りにイースト・コーストの香りが一杯の演奏である。原田和典氏が、ライナーノーツで以下のように解説している(2013年1月付け)。

「即興部分とアレンジ部分の絶妙なバランス、一分の隙も感じさせぬ演奏技術、シングル・レコードばりの各曲の簡潔さ…50年代ニューヨークの(主に)白人系スタジオ・ミュージシャンによるモダンジャズ、いわゆる”イースト・コースト・ジャズ”を象徴する1枚こそ本アルバムである」。ジャケットには演奏時間の記載がないが、PCに取り込んだCDをiTunesで確認すると、3分から4分半で全曲が完結している。

1. Taylor Made
2. You Don't Know What Love Is
3. They Can't Take That Away From Me
4. Lullaby For Leslie
5. Minor Matters
6. Blue-Who
7. By-Lan
8. What's New
9. Interwoven
10. Give 'Em Hal

Hal McKusick - alto saxophone, clarinet
Barry Galbraith - guitar
Milt Hinton - bass
Osie Johnson - drums

Recorded on February 17, 1956.

The Great Jazz Trio / The Great Tokyo Meeting

LPのライナーノーツは、スイングジャーナルの当時の編集長だった児山紀芳氏。ザ・グレイト・ジャズ・トリオ結成の経緯などで紙面をほとんど埋め尽くしている。このアルバムの内容に関してはまったく書いていない。一方、CDのライナーノーツは原田和典氏。こちらも、全7曲は各メンバーの作であると書いている程度。

つまり、ハンク、ロン、トニーによる6枚目のアルバムでは、何ら新しい物を発見できなかった、と彼らは暗に言っている。このトリオでやることは、もうなくなってしまったのだ。東京でのスタジオ録音は、お疲れ様でしたの意味合いが濃い。1980年からメンバーを替えて活動は進めたが、この3人による最後のアルバム。自分自身が大学のジャズ研に所属していた時期と重なっているので、リアルタイムで聴いてきたピアノトリオ。このアルバムの録音から5年後、1983年のキース・ジャレットによるスタンダーズ・トリオの出現を待つことになった。

1. Pink Lady
2. Mellow Blues
3. Out Of Round
4. G.J.T.
5. Interface
6. Forever
7. To Destiny

Hank Jones - piano
Ron Carter - bass
Tony Williams - drums

Recorded on July 31, 1978 at Onkyo House, Tokyo.

The Great Jazz Trio / Milestones

The Great Jazz Trioのブルースカイ3部作(自分が勝手に命名)の3作目。ジャケットは澄み切った青空ながら、このトリオの勢いに少し陰りが見えてきたアルバムである。理由はイースト・ウィンド側がセールスに走り過ぎて、短期間に次々とアルバムをリリースしたため。やがて、演奏する側はやらされ仕事のようになってきた。ジャズマンをサラリーマンと勘違いした日本のイースト・ウィンド・レーベル。

スタジオに入れば最高のパフォーマンスを演じるハンク、ロン、トニー。しかしながら、明らかに準備不足。例えば一曲目のMilestonesは非常にシンプルな構成の曲で、様々な料理方法が考えられる。しかも、ロンとトニーはマイルスと何度も演奏してきた曲でもある。だからこそ、The Great Jazz Trioらしいアレンジを提案できたはず。だが、そんな余裕は与えられなかったのだろう。

1. Milestones
2. Lush Life
3. Wave
4. Eighty-One
5. I Remember Clifford
6. Hormone
7. Mr. Biko

Hank Jones - piano
Ron Carter - bass
Tony Williams - drums

Recorded on April 5, 1978 at Sound Ideas Studios, NYC.