ジャズ・メッセンジャーズを率いたアート・ブレイキーは別として、ドラマーによるリーダーアルバムは決して多くない。日本の富樫雅彦や森山威男のアルバムは世界的に見ても珍しい位置づけではないだろうか。そんなことを思いながら、この「バスラ」を久しぶりに聴いた。
「バスラ」とは、イラク南部の第2の都市。夏場は平均最高気温が摂氏40度を超えるようだ。想像するだけで頭がくらくらしてきて、ここで表現している中東的なサウンドに言いようもない気怠さを感じてしまう。そんな感覚をさらに呼び起こすようなジャケットデザイン。特にLの上にAを載せた配置は、ラロカのビート感覚とも一致しているようにも思えてくる。50年代、60年代を通して、リーダーがドラマーのジャズアルバムの中では最高峰だろう。頂上を極めた浮遊感がここにある。
1. Malaguena
2. Candu
3. Tears Come From Heaven
4. Basra
5. Lazy Afternoon
6. Eiderdown
Joe Henderson - tenor saxophone
Steve Kuhn - piano
Steve Swallow - bass
Pete La Roca - drums
Recorded on May 19, 1965 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.