Gary Bartz / Libra & Another Earth

ゲイリー・バーツのアルバムLibraとAnother Earthをカップリング。初リーダーとセカンドである。お買い得と思っていたが、Libraの2曲目Disjunctionが抜け落ちていたことがわかった。ギリギリでCDに収まらなかったのだろう。全12曲、77分12秒。前者が1967年6月、後者が68年6月の録音なので、際立って大きな方向性の違いはない。実のところ、それはそれで面白みがないのだ。

コルトレーンが他界する前後の録音であるから、バーツにとっては、何かしらの思うところがあったと想像する。なぜなら、バーツはAnother Earthの録音以降に、マッコイ・タイナーのグループで活躍したからだ。しかしながら、そんなことはお構いなしに、淡々と自分のスタイルで演奏している。

1. Eastern Blues
2. Cabin In The Sky
3. Air & Fire
4. Libra
5. Bloomdido
6. Deep River
7. Freedom One Day
8. Another Earth
9. Dark Nebula
10. UFO
11. Lost In The Stars
12. Perihelion & Aphelion

Libra: Tracks 1 - 7
Gary Bartz - alto saxophone
Jimmy Owens - trumpet (tracks 4,7)
Albert Dailey - piano
Richard Davis - bass
Billy Higgins - drums
Recorded on May 31 & June 15, 1967 at Plaza Sound Studios, NYC.

Another Earth: Tracks 8 - 12
Gary Bartz - alto saxophone
Pharoah Sanders - tenor saxophone (track 8)
Charles Tolliver - trumpet (track 8)
Stanley Cowell - piano
Reggie Workman - bass
Freddie Waits - drums
Recorded on June 19 & 25, 1968 at Plaza Sound Studios, NYC.

Gabor Szabo / The Sorcerer

不思議な感覚である。このアルバムをジャズという意識を持って聴き始めると、軽くかわされてしまう。かわされた音楽がジャズではないかと言うと、やはり、これはジャズなのだ。時にはインド音楽であったり、スパニッシュやタンゴの響きを感じたり、まるで演歌のようなフレーズも出てくる。ガボール・ザボは、そもそもジャズと言う範疇でギターを弾いている訳ではなかった、と思う。周囲がジャズに組み込んだだけ。

ジャズクラブ『ザ・ジャズ・ワークショップ』が場を提供し、インパルスが録音してアルバムにしただけ。それをジャズファンが聴き「これはよし!」と唸った。ある種のハプニングであるが、こういうアルバムに出会えたことは、自分にとってもハプニング。タイトルは「魔術師」の意味。ザボ自身ではなく、プロデューサーのボブ・シールによるものだろう。シールは「トリップした…」と呟いたに違いない。

1. The Beat Goes On
2. Little Boat (O Barquinho)
3. Lou-Ise
4. What Is This Thing Called Love?
5. Space
6. Stronger Than Us
7. Mizrab
8. Comin' Back

Gabor Szabo - guitar
Jimmy Stewart - guitar
Lajos "Louis" Kabok - bass
Marty Morell - drums
Hal Gordon - percussion

Recorded on April 14 & 15, 1967 at The Jazz Workshop in Boston, Massachusetts.

Gabor Szabo / Spellbinder

ギターという楽器は、弾き手によってこうも変わるものかと感心してしまう。ジャズギターの名手はたくさんいるものの、鬼才と呼べるのはガボール・ザボだけではないだろうか。そして、サンタナで慣れ親しんだ曲Gypsy Queenを含め、Spellbinder, Cheetah, Yearningの4曲はザボの作品であって、ギターだけではない才能を示している。

さらには、ボーカルも披露し、ジャケットの絵もザボが描いている。インパルス・レーベルは、ザボに対してかなり自由な裁量権を与えていたことが分かる。驚くことに、ベースはロン・カーター。このアルバムの録音当時、ロンは黄金のマイルスグループに所属。マイルスのアルバム『プラグド・ニッケル』(65年12月録音)と『マイルス・スマイルズ』(66年10月録音)の間に、本アルバムに参加したことになる。もしかすると、マイルスとザボの共演があるかも知れないと調べたが、そのデータは出て来なかった。

1. Spellbinder
2. Witchcraft
3. It Was A Very Good Year
4. Gypsy Queen
5. Bang Bang (My Baby Shot Me Down)
6. Cheetah
7. My Foolish Heart
8. Yearning
9. Autumn Leaves / Speak To Me Of Love

Gabor Szabo - guitar, vocals
Ron Carter - bass
Chico Hamilton - drums
Willie Bobo - percussion
Victor Pantoja - percussion

Recorded on May 6, 1966 at Rudy Van Gelder Studio in Englewood Cliffs, New Jersey.