George Wallington / Jazz For The Carriage Trade

英文ライナーノーツには、こんな一文がある。As modern pianist and group leader extraordinaire, George Wallington is a prime caterer to the carriage trade.(現代のピアニストであり、優れたグループリーダーであるジョージ・ウォーリントンは、上得意客のサービス係だ)。アルバムタイトルThe Carriage Tradeを引用してウォーリントンを形容している。

確かにジャケットを見ると、スーツを着て馬車に乗り、しかもウォーリントンはなぜか傘を差している。サービス精神旺盛ということだろうか。さらによく見ると、アート・テイラーが写っていない。このこともライナーノーツに記載があった。「テイラーは、表紙に写っているドラマーJunior Bradley(ジュニア・ブラッドリー)が町から離れていたので、録音に参加した」。ならば、録り直せ!と言いたのだが、もっとよく見ると、馬の足首が不自然なのだ。つまり、準備にかなり手間をかけた撮影。そして、A radio "ham", his call letters are W2DSE. (アマチュア無線の彼のコールサインはW2DSE)と紹介されている。となると、傘ではなく、彼自身が考案した変形アンテナかもしれない。

1. Our Delight
2. Our Love Is Here To Stay
3. Foster Dulles
4. Together We Wail
5. What's New
6. But George

Phil Woods - alto saxophone
Donald Byrd - trumpet
George Wallington - piano
Teddy Kotick - bass
Arthur Taylor - drums

Recorded on January 20, 1956 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.

George Wallington / Live! At Cafe Bohemia

ジャケット下にfeaturing The Peckと書いてあり、何を意味しているのか分からなかったが、Ira Gitler(アイラ・ギトラー)による1970年8月付けの英文ライナーノーツを読んで判明した。「6曲目Bohemia After Darkは、マクリーン作の短いThe Peckで終わる。フロント2管によるI Got Rhythmから切り取ったフレーズの交換。この"pecking"(つつく)奏法は、2曲目Sweet Blancheでも聴く事ができる」。

ギトラーは、最後にこう付け加えている。「1955年のメトロノーム年鑑で、ウォーリントンはジャズについて答えている。『真にスイングするジャズが好きだ。スイングがそれほど重要ではなくなるまで、ジャズは進化するだろう。でも、それは自然な形でなければならない。私は自然な即興が好きなんだ』。録音から15年経った今でも、スイングしていて心が揺さぶられるアルバム。素晴らしいサウンドだ」。

1. Johnny One Note
2. Sweet Blanche
3. Minor March
4. Snakes
5. Jay Mac's Crib
6. Bohemia After Dark
7. Minor March [alternate take]

Jackie McLean - alto saxophone
Donald Byrd - trumpet
George Wallington - piano
Paul Chambers - bass
Art Taylor - drums

Recorded on September 9, 1955 at The Cafe Bohemia, Greenwich Village, NYC.