Bud Powell / The Amazing Bud Powell Vol.3

決して歯切れの良いピアノではないが、50年代後半のパウエルを捉える上では重要なアルバム。そして、3曲のみだがパウエル自身が望んでカーティス・フラーを参加させたらしい。それが功を奏したかは、意見の分かれるところだろう。パウエルは、自分に刺激を与えてくれる管楽器が欲しかったのではないか。それが、トランペットでなく、サックスでもなく、トロンボーンというのが、このアルバムの存在意義のような気がする。逆に5曲目のBud On Bachは、パウエルのクラシック的ソロで、練習曲でしかない。

パウエルのディスコグラフィーを見ると、カーティス・フラーとの共演はこの時限り。そして、ポール・チェンバースとは、意外にも初めての共演である。アート・テイラーとは古くからの付き合い。本作録音から約1年経った58年12月、チェンバースとテイラーによるトリオでアルバムThe Scene Changesを録音。日本人に愛され続けている名曲「クレオパトラの夢」が誕生したのは、本作があったからなのだ。

1. Some Soul
2. Blue Pearl
3. Blue Pearl [alternate take]
4. Frantic Fancies
5. Bud On Bach
6. Keepin' In The Groove
7. Idaho
8. Don't Blame Me
9. Moose The Mooche

Bud Powell - piano
Curtis Fuller - trombone (tracks 7-9)
Paul Chambers - bass (except track 5)
Art Taylor - drums (except track 5)

Recorded on August 3, 1957 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.

Bud Powell / Blue Pearl

80年代前半、未発表テープの発掘作業がさかんに行われた。その成果の一つが本作。パウエルのアルバムThe Amazing Bud Powell Vol.3は、一発録りがほとんどだったのだが、Blue Pearlのみに別テイクが存在することが分かり、発掘に成功。そして、3曲だけの45回転LPがリリースされた。

LP帯のキャッチコピー。「巨匠パウエルが〈ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ〉のコード進行にのせて綴った〈クレオパトラ〉と並ぶパウエル・スタンダード〈ブルー・パール〉幻のテイク2 遂に世界初レコード化!! 完全限定プレス1,200円」。このコピーに心揺さぶられ当時購入した次第である。現在のCDには、Blue Pearlの別テイクは収録されているので、本作の価値は全く無くなってしまった。ただ、発掘作業によって即座にアルバムがリリースされたことは、ジャズのポテンシャルが高い時代があったことを示しているのだ。

1. Blue Pearl [alternate take]
2. Blue Pearl
3. Cleopatra's Dream

Bud Powell - piano
Paul Chambers - bass
Art Taylor - drums

Tracks 1 & 2
Recorded on August 3, 1957 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.

Track 3
Recorded on December 29, 1958 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.

Bud Powell / Swingin' With Bud

タイトル通りで、純粋にパウエルのピアノ、そしてジョージ・デュビビエとアート・テイラーによるトリオ演奏を楽しめるアルバム。まさしくスイングしているのだ。本作の5ヶ月前1956年10月に録音されたアルバムStrictly Powellと同じメンバー。こちらもタイトル通り。ある種の厳しささえも感じる前作。静のパウエルと言えるだろう。そして、本作は動のパウエル。内向的と外交的とも言える。

パウエルのディスコグラフィーを見ると、57年1月にバードランドで同メンバーによるライブ演奏を行なっている(ライブアルバムは廃盤状態の模様)。恐らく、このライブが成功したため、本作の構想が生まれたのではないだろうか。

1. Another Dozen
2. Like Someone In Love
3. Salt Peanuts
4. She
5. Swedish Pastry
6. Shawnuff
7. Oblivion
8. In The Blue Of The Evening
9. Get It
10. Birdland Blues
11. Midway

Bud Powell - piano
George Duvivier - bass
Art Taylor - drums

Recorded on February 11, 1957 in NYC.