Bill Evans / You Must Believe In Spring

1977年8月に録音されたこのアルバムは、エバンス死後の1981年にリリースされている。何があったのだろう。レーベルとの契約の問題か。このアルバムまでレーベルはファンタジー、そしてワーナーに移籍後の第一作であったはず。しかし、翌78年初めに録音されたピアノソロ、オーバーダビングによるアルバムNew Conversationsが、移籍第1弾となった。つまり、ワーナーとしては新たなエバンス像を創りたかったのだろう。そのため、従来路線のYou Must Believe In Springをお蔵入りさせたのだが、演奏内容は非常に高かったため、エバンスの死後にリリース。そう推測したい。

CD帯から。「ビル・エバンスが70年代の後半にたどり着いた至高のトリオ表現。繊細なニュアンスと内省的な響きをもつエバンスのタッチが、これまで以上の深化をみせて聴き手の心に訴えかけてくる。ミシェル・ルグランの手になるタイトル曲。美しくも哀しい〈Bマイナー・ワルツ〉やジミー・ロウルズの名作〈ピーコックス〉をはじめ、ガラス細工のようにデリケートなプレイの美しさに時を忘れて聴き惚れる。ビル・エバンスの“特別な”1枚」。ガラス細工かどうかは別として、時にエディ・ゴメスがはしゃぎ過ぎて、ガラスが割れそうだ。

1. B Minor Waltz
2. You Must Believe In Spring
3. Gary's Theme
4. We Will Meet Again (For Harry)
5. The Peacocks
6. Sometime Ago
7. Theme from M*A*S*H (Suicide Is Painless)
8. Without A Song
9. Freddie Freeloader
10. All Of You

Bill Evans - piano
Eddie Gomez - bass
Eliot Zigmund - drums

Recorded on August 23, 24 & 25, 1977 at Capitol Studios, Los Angeles, CA.

Bill Evans / I Will Say Goodbye

1959年12月録音の名盤Portrait In Jazzから様々なアルバムを世に出し、77年5月録音のアルバム。この期間、本質的には何も変わっていない。20年近く同じスタイルを貫いてきたジャズミュージシャンも珍しいのではないだろうか。だが、それでは骨董品を眺めているのと同じ。

そんなことを思いながらジャケットを見ると、まっすぐ伸びた道の先に旧式のような車が一台。このまま昔のスタイルで真っすぐ行きます、と宣言しているような。ちなみに、エバンスの作品は7曲目のThe Openerのみ。何か新しいことに挑戦した訳ではないことが分かる。

1. I Will Say Goodbye
2. Dolphin Dance
3. Seascape
4. Peau Douce
5. Nobody Else But Me
6. I Will Say Goodbye [take 2]
7. The Opener
8. Quiet Light
9. A House Is Not A Home
10. Orson's Theme

Bill Evans - piano
Eddie Gomez - bass
Eliot Zigmund - drums

Recorded on May 11, 12 & 13, 1977 at Fantasy Studios, Berkeley, CA.

Bill Evans / The Tokyo Concert

いソノてルヲ氏の司会と、曲が終わると整然と送られる観客からの拍手。サプライズは一つもなく、理路整然と議事進行している様子を捉えたライブアルバム。ビル・エバンスとマーティー・モレルは議事進行を守っているが、エディ・ゴメスが時に暴走する。それでもよしとする人もいれば、うるさいと感じる人もいるだろう。こういう事を書くので、自分は後者である。

エバンスのピアノの余韻を楽しむことができない。隙あらばと、ゴメスのベースが入り込んでくるからだ。ライブならば、場の雰囲気を盛り上げるために、そんなやり取りもOKだろう。しかし、ライブアルバムなのである。録音した音源を聴かせることを考えれば、喋り過ぎは良くないのだ。

1. Mornin' Glory
2. Up With The Lark
3. Yesterday I Heard The Rain
4. My Romance
5. When Autumn Comes
6. T.T.T.T. (Twelve Tone Tune Two)
7. Hullo Bolinas
8. Gloria's Step
9. On Green Dolphin Street

Bill Evans - piano
Eddie Gomez - bass
Marty Morell - drums

Recorded on January 20, 1973 at Yubin Chokin Hall, Tokyo.