Lennie Tristano / The New Tristano

レニー・トリスターノによるピアノソロ。キースやモンクを代表とするソロのアプローチとは全く異なる。ベースラインを強調することが多く、スイング?することを試みている。トリスターノ自身はスイングしているかも知れないが、聴き手は熱くなれない。それは、ベースラインにシンコペーションがほとんどないからだ。しかし、それこそがトリスターノの真骨頂とも言える。タイトルをThe New Tristanoとして、定冠詞を置き普遍的なものとしてしまった。その傲慢さもトリスターノ的である。

LPのライナーノーツで栗村政昭氏が、このようなことを書いている。「いずれにしてもこのアルバムは、一時期のジャズ界を震撼させたレニー・トリスターノが、風雪を経たのちに残した一里塚として、繰り返し傾聴さるべき無限の内容を秘めた問題作である」。確かに、本作が録音された1960年代初めにおいては、問題作であったと想像する。だが、結局のところ、その問題は棚上げされたままで、コルトレーンやマイルスを中心として、ジャズは大きなうねりに飲み込まれていった。ジャズは常に変化し、普遍ではないのだ。

1. Becoming
2. C Minor Complex
3. You Don't Know What Love Is
4. Deliberation
5. Scene And Variations - Carol, Tania, Bud
6. Love Lines
7. G Minor Complex

Lennie Tristano - piano

Recorded in 1960 - 1962 at Lennie Tristano's home studio, NYC.

Miles Davis / Milestones

本作の録音データは2種類ある。マイルスのディスコグラフィーと所有する輸入盤CDでは、1958年2月4日と3月4日の録音となっており、国内盤LPでは4月2日と3日と記載されている。以下はマイルス自叙伝①からの抜粋。アルバムSomethin' Elseの録音は1958年3月9日なので、マイルスの指摘通り4月が正しいようだ。そして、マイルスがピアノを弾いた理由は、レッド・ガーランドとの言い争いにあったことが分かった。

「ニューヨークに帰ると、ブルーノートと契約したキャノンボールのレコーディングが待っていた。奴がオレにも加わって欲しいと言うから、友情として付き合った。〈サムシン・エルス〉というレコードで、なかなか良かった。オレも自分のバンドでコロンビアにレコーディングしようと、四月にスタジオに入った。〈中略〉何かをレッドに説明しようとしているうちに、奴が怒って帰ってしまったから、〈シッズ・アヘッド〉ではオレがピアノを弾いた。オレは、このレコードでバンドのサウンドが大いに気に入って、何か特別なことができたと確信した。〈中略〉〈マイルストーンズ〉が、モード手法で本格的に作曲しはじめた最初のレコードになった」。

1. Dr. Jackle
2. Sid's Ahead
3. Two Bass Hit
4. Milestones
5. Billy Boy
6. Straight, No Chaser

Miles Davis - trumpet, piano (track 2)
John Coltrane - tenor saxophone
Cannonball Adderley - alto saxophone
Red Garland - piano (except track 2)
Paul Chambers - bass
Philly Joe Jones - drums

Recorded on April 2 (tracks 3-6) and 3 (tracks 1,2), 1958 at Columbia 30th Street Studio, NYC.

Miles Davis / Amsterdam Concert

このライブ演奏の3日前に、全く同じメンバーで映画音楽『死刑台のエレベータ』をパリで録音している。その当時の事はマイルス自叙伝①でこう書かれている。「映画音楽をやっている間にも、ケニー・クラークのドラムス、ピエール・ミシュロのベース、バルネ・ウィランのサックス、ルネ・ウルトルジュのピアノというグループで『クラブ・サンジェルマン』で演奏した。音楽そのものがすべてを伝えると思っていたから、フランスでも曲の紹介やらアナウンスは一切やらなかった。それで、フランスの批評家連中が怒ったことは、よく覚えている。オレが、傲慢にあしらっていると受け取ったようだ」。

即興のコンボであることは間違いないが、セッションを繰り返していたことがわかる。そして、本作のコンサートに関しては、残念ながらマイルスは触れていない。アムステルダムの観客にもアナウンス無しで演奏したのだろう。かなり緊張したと想像できる映画音楽の録音を終えてのアムステルダムでのライブ演奏。「楽しんでやろうぜ」と舞台に上がったに違いない。

1. Woody'n You
2. Bags' Groove
3. What's New
4. But Not For Me
5. A Night In Tunisia
6. Four
7. Walkin'
8. Well, You Needn't
9. 'Round Midnight
10. Lady Bird

Miles Davis - trumpet
Barney Wilen - tenor saxophone
Rene Urtreger - piano
Pierre Michelot - bass
Kenny Clarke - drums

Recorded on December 8, 1957 at Concertgebouw, Amsterdam, Holland.